2015年のmusipl.comでの10月アクセス数上位10レビューはこちら!

 
1位 SANABAGUN
『人間』
 TV放送のアニメ制作者の「ベッドシーンはNGなので、代わりに男女の食事シーンを意図的に入れてる」との話に、メジャーの難しさは規制の枠、それを感じさせない表現かと。深夜フリートークで「こんな雨の日は一日中部屋で彼とヤりまくりたい」と気さくに話す歌姫も、メジャーではカブトムシやテトラポットに置き替えて「こんな夜にお前に乗れないなんて!」的に暗号化する訳で。サナバガンの1stメジャーアルバムの… (レビュアー:北沢東京)
 

 
2位 Keyton
『ナイトデイライト』
 そんなに肩に力を入れなくてもいいじゃないかと問いかけてくる音楽というものがある。そういう音楽の主張はリラックスなので、ゆるやかなトーンで問いかけてくるためにこちらが気がつかないということはよくあって、だから、気がついた時には「あ、なんかリラックスできてるなオレ。でも、何故だろう、何故なんだろう」という感じで、肩の力をほぐしてくれたのが音楽だったということには気がつかないことも多い… (レビュアー:大島栄二)
 

 
3位 北航平
『endless cycle of rebirth』
 音響心理学で、カクテルパーティー効果というテーゼがある。その名のとおり、なぜ、賑やかなカクテルパーティーの最中でも”必要な音“だけを聴き取ることができるのか、という心理的作用をいう。自分にとって不必要かもしれない雑音は誰かにとって意味ある音で、逆にいえば、隣の部屋の会話が雑音にしか思えないということも出てくる。京都在住のアーティスト北航平の作り上げる音は穏やかで… (レビュアー:松浦 達
 

 
4位 オールドローズ
『MOSAIC』
 音がここではこうあるべきというのを予定調和だとすれば、ロックの本質というのはその予定調和をどうやって破壊するのかということに収束していく。近年の日本のロックシーンでは一部の予定調和破壊者はいるものの実は多くはトレンドを追うばかりで、期待される「音」を期待通りに奏でようとする人たちが多かったりする。旧い楽曲を知らない人には新鮮でも、ああ、これはあれの何とかだなと思わずにいられない曲と… (レビュアー:大島栄二)
 

 
5位 星野源
『Snow Men』
 「世界」(と呼べるような代替語がまだ、あるとしたら)が「あなた」に直結する気味の悪さに距離を置いていたとしても、現在、少しの気力や暇があって、検索能力があれば、全く知らない誰かの「恋愛的な何か」を模した映像に触れることができる。数秒の間のキス、抱擁動画、それらがなんの意味を成してなくてもいい、ただ、瞬間に「強度」だけを示していて、それが、いや、それ(ら)が共有される紋切型の空間に… (レビュアー:松浦 達
 

 
6位 博せ(関口知宏)
『AIR』
 父は司会者で俳優・タレントの関口宏、母は元歌手の西田佐知子、祖父はかつての映画スターである佐野周二。関口知宏と聞くと、「俳優」であり「鉄道で旅をしてる人」のイメージが強いかもしれません。そんな彼が、突如 ”博せ”として音楽家デビューし、俊足で売上げランキング2位を叩き出し、世間を賑わせています。そもそも”博せ”ってなんですか?という話なのですが、世界に誇れる日本の… (レビュアー:本田みちよ)
 

 
7位 Route48
『take away』
 ロックバンドにとって、歌か演奏かというのは最終的な答えがない命題のように思われる。歌が大きすぎると歌謡曲のように聴こえる。かといって歌が小さすぎれば声量の足りないボーカルと映ってしまう。それをスタジオで録音してミックスする時に延々と確認をするのだが、個人の家には到底置けないような大きなスピーカーと、音楽好きなら持っていそうなモニタースピーカーと、チープなラジカセ程度のスピーカーで… (レビュアー:大島栄二)
 

 
8位 加藤いづみ
『好きになって、よかった』
 この曲が好き。本当に好き。そんな曲はまあいくつもあるんだけれども、その中でもかなり好きな曲。好きな曲番付をつけるなら横綱か大関クラス。ビクターで仕事をしていて衛星放送の収録現場にキャンペーンに来てて、こりゃまあかわいい人が来たなあと思ったけれども、今調べたら僕の大学の同級生とそんなに年齢が違わなくて、ええっ、そんなだったのと驚いたりもする。そんな時代から20ン年経って… (レビュアー:大島栄二)
 

 
9位 比留間早紀
『Strawberry/sour-sweet love only you』
 こういう歌を聴くと、やっぱり女子の方がパワフルだよなあと思わずにはいられない。歌詞の言葉としては「離さないでお願い」とか言うんだけれど、全体を通して感じるのは何かにすがるだけのか弱い女というものではなく、自分の希望に向かって突き進む的なポジティブさ。いやそりゃあ恋愛だから希望通りに事が運ぶばかりじゃないだろうし破局も失恋もあるだろうけれど、だとしてもその悲しみの絶望から… (レビュアー:大島栄二)
 

 
10位 yonige
『アボカド』
 バンド名がどんどん変な方向に行くのは、やはり検索してもらってナンボという考えが浸透しているからでしょう。昔だったらそれバンド名なのかと思うような、文章ですかというようなバンドもたくさん出てきて、じゃあかえって短いバンド名の方が目立つんじゃないのと思ったりもするけれども、短くてありふれた名前であれば、やっぱり検索で引っ掛からなくてソンだったりします。そりゃそうでしょう… (レビュアー:大島栄二)
 

 
次点 ハチスノイト
『kamuy mintar』
 北海道知床出身、バレエ、演劇、箏曲、雅楽などの経験を経て、関西にて活動の後、現在は東京を拠点に活動する女性ボーカリスト【ハチスノイト】。賛美歌のような、でももっと神秘的で実験的で儀式的な声の世界。部屋の中、大音量で聴くとス〜ッと別世界に持ち上げられる感覚で宙に浮いている感じ。音に身を委ねると半分脳が眠った状態、それは本を集中して読んでいる時と同じだそうですが、まさにそんな感じ…  (レビュアー:本田みちよ)
 

 
編集長コメント

1位 SANABAGUN『人間』:9月半ばにレビューが公開され、9月のランキングでは4位に入っていた彼らのレビューが10月に入って急激にアクサスが集まるようになりました。2位の8倍くらいのアクセス数でダントツでした。Twitterでリツイート拡散されてるとかでもなさそうで、どこからいらしていただいているのか、不明です。サイト全体をみると毎月SNSからの流入が多いのに、10月はサーチエンジンからの流入がドーンと増えているようなので、ファンがアーチスト名で検索されているのでしょうね。うん、スゴいです。

2位 Keyton『ナイトデイライト』:しっとりとしたポップナンバーが2位にランクイン。全国を細かくツアーで回っているシンガーの活動がこうやって上位に入ってくるのは嬉しいものです。ちょうどこの10月末から11月にかけては関西を回っている様子。頑張ってください。

3位 北航平『endless cycle of rebirth』:京都を拠点にして活動するアーチスト、北航平さんの曲を松浦さんがレビュー。10月最終週での紹介にも関わらず、アクセスが集まり3位に入りました。こういうアンビエントな楽曲はある意味わかりにくかったりもしますが、聴いてみると意外に軽やかだったりで、ああ、イイなこんなのって思えることも多いです。食わず嫌いしている人がいらっしゃいましたら、これを機に聴いてみてはいかがですか。

4位 オールドローズ『MOSAIC』:レビューを書いていて、まあ当然何度も聴いて書くのですが、最初のインパクトと、その後繰り返して聴くうちに沁みてくる深みのようなものがある曲って、名曲だと思っています。その観点からも、これは名曲。トリップしそうになるロックンロール、まさにロックンロールって言葉がドンピシャなナンバーなんじゃないでしょうか。静岡を拠点に活動しているそうで、一気に全国区に駆け上がってしまう可能性ありです。

5位 星野源『Snow Men』:ドメジャーというか、今まさに売れっ子中の売れっ子、星野源の新曲。公開から1ヶ月チョイでYouTubeの再生回数は100万回を突破しているのですけど、それが1位にはなってないというのが、このmusiplの面白いところというか、偏ったところというか、なんでしょうかね。さすがに才能とお金がふんだんに溢れてるこの曲とビデオ、いいですよね。いろんな音楽性を持った星野源さんは、やはり日本の音楽シーンの中で今まさに要注目アーチストの筆頭というべきでしょう。

10位 yonige『アボカド』:8月のほぼ最後にレビューを公開して、数日だったのに8月のランキングでは11位に入り勢いを感じた彼女たち。しかし9月にはランキング外になり、なかなか難しいなあと思っていたら10月に入って10位にランクイン。こういうの、面白いですね。見てみると毎日のようにちょっとずつアクセスがあって、それが積み重なって上位に入ってくる。これ、ファンがちゃんと付いている証拠でもあるのでしょう。

 レビュアーの本田みちよさんがやってる音楽情報番組MUSIC SHAREがどんどん拡大しているそうで、9月にはMUSIC SHARE京都というのがスタートしました。音楽をやっているのはなにも東京にいる人だけじゃないわけで、そういうのを全国から紹介していくそうです(多分)。MUSIC SHARE京都では以前musiplでも紹介した中村佳穂さんが司会を担当していて、ああ、なんか拡がっていくってこんな感じかなと勝手に感慨深いです。musipl.comでもさらに発掘&紹介を続けていって、日本の音楽シーンに貢献できればなあと切に願ったりしているところです。これからもよろしくです。

(大島栄二)