2015年のmusipl.comでの3月アクセス数上位10レビューはこちら!

 
1位 天才バンド
『君が誰かの彼女になりくさっても』
 奇妙礼太郎という人は一部に熱狂的なファンを持つミュージシャンである。その彼がやっているバンドがこの天才バンド。何が天才なんだというツッコミはさておき、聴いていてやはり引き込まれる歌がそこにはある。こういう存在はいつの時代にもいて、誰もがそれになりたいと思って、何がどう違うんだろうと思うのだけれども、何かがやはり違っていて、どこをどう足掻いてもそれになることは出来ずに終わる… (レビュアー:大島栄二)
 

 
2位 Chu's day.
『Rocking shoes』
 ボーカルに魅力があるバンドの楽曲は何をやっても魅力的になる。では魅力的なボーカルって何なんだろうと考えるけれども、万能な答えはやっぱり見つからなくて、ひとつひとつの声に対して、これは魅力的だ、これはそうじゃないと延々とジャッジし続けるしかないのだろう。もちろん、聴く人によって魅力の在処は違ってもくる訳で。このバンドのERIさんの声はおそらくほとんどの人が魅力的だと感じるのではないだろうか… (レビュアー:大島栄二)
 

 
3位 dip in the pool
『Bali Ha'i』
 2015年の幕開け、MUSIC SHARE 新年のゲストとしてもご登場頂いた dip in the pool の新作「HIGHWIRE WALKER」その中の映画「南太平洋(ミュージカル)」挿入歌「Bali Ha'i」のカバー曲。原曲は全然世界観も違うので、最初聴いた時てっきり新曲だと思い込んでいました。dip in the poolの世界観は「万華鏡を覗いた時の愉しげなんだけど、どこかピシッとガラスの繊細な糸が張り詰めてるような緊張感があり… (レビュアー:本田みちよ)
 

 
4位 ケリーマフ
『イカサマ』
 コワい。いや、カッコいい。このシャウトの仕方が、本当にシャウトというか、吠えているというか、悪態をついているというか、かなり独特で耳からなかなか離れてくれそうもない。これだけ吠えまくりなのにしっかりと音楽になっていて、とても面白い。ロックバンドの人は楽譜なんて読めなくて当たり前とか、いやいや楽譜も読めなくて音楽が出来るかとか、もはやそんな論争など意味不明なくらいに… (レビュアー:大島栄二)
 

 
5位 KANADe
『Happy & Sad』
 音楽を聴いている時のリッチな体験は、音楽の中にいる感覚だろう。ひとつはライブやフェスで外的視覚や振動で味わうもの。もうひとつは内的トリップ。最良の音楽が心を音楽の中へ連れ出す。環境もジャンルも関係ない。イントロがはじまった時に、ボリュームを3つも4つも上げたくなる。音楽の終わりにはどんな気持ちか、予測もできない。『Happy & Sad』はまさにその、内的な時空間旅行だ。街を歩く時もヘッドフォンを… (レビュアー:北沢東京)
 

 
6位 Hiplin
『LittleBaby』
 関西でソウルフルに歌っているこのシンガーの歌が心地良い。特にメッセージがあるとか無いとか、そんなこととはまったく無縁に、歌声が心地良い。歌声も含めてサウンドとして部屋で鳴っているときっと気分良いだろう。そう、CDを買って聴くというのはそういう楽しみなんじゃないだろうかと今さらながらに思ったりする。時代を切り取ったり、そこに潜む問題点をえぐったり、愛や恋や好きやはれただの… (レビュアー:大島栄二)
 

 
7位 ORIGINAL LOVE
『接吻』
 田島貴男という人が優れたメロディメイカーなのはもちろんだが、いまだによくわからないというのが正直なところだ。ピチカート・ファイヴ時代にはセールス的にたいした成果は出なかったもののアルバムのクオリティは(当然だが)とても高く、その余波でORIGINAL LOVEとしていきなり2枚組みのアルバムでデビューした。売り出し方も結構大々的だったし内容もかなりグレード高かった。そのアルバムは僕も持っているし… (レビュアー:大島栄二)
 

 
8位 オレスカバンド
『Walk』
 同じ中学で結成したバンドが12年も続くなんて当時の本人たちは考えていただろうか。そしてこんな風に音楽性が進化していくなんて誰が想像しただろうか。そしてこの音楽性の進化は本当に進化なのだろうか、それともメタモルフォーゼなのだろうか。当初は元気でストレートでパワフルなステージを展開。当然リズムはスカ。持っている楽器がホーンセクションということが特徴の、ある意味典型的な若いバンド… (レビュアー:大島栄二)
 

 
9位 ピロカルピン
『箱庭の世界』
 結成10周年というのはデビュー10周年とは意味が違っていて、本当にライブハウスでガラガラの中でしぶとく演奏を続けている頃からの時間の経過のことを指しているのだろう。僕もほぼ10年近く前に彼らのライブを数回観たことがある。一緒に仕事をしていたミュージシャンの友人だという彼らのライブはお世辞にも上手いといえるようなものではなかった。しかし、続けてみるものだ。後にメジャーデビューも果たし… (レビュアー:大島栄二)
 

 
10位 スキッツォイドマン
『ギロチンX』
 カッコいい。イントロから盛上がるフレーズの連打、そこからフレンチポップスかと錯覚する展開、シャッフルするリズム、そしてこの個性的なメンバーの暴れたり落ち着いたりというテンションのギャップ。意味など無いように思われる歌が「首から上が無い方が生きていくには楽なんだ」というシニカルでアイロニカルな言葉をぶつけてくる。首がなければ死ぬのだが、その首が無い方が生き易いとはまあなんと… (レビュアー:大島栄二)
 

 
次点 Blur
『Go Out』
 ブラーの12年振りの新しいオリジナル・スタジオ・アルバムが4月に出ると聞いて、即座にピンと来る人は、筆者に近い30代、40代だろうか。それとも、ゴリラズなどでデーモン・アルバーンを知った若い人たちの後追いの意識に依拠するのだろうか。以前だと、バンド・ヒストリーというのは重く、ひとつのナラティヴのようになり得たものだが、現今のようにコンセプトありきでプロジェクト的に同時多発的に… (レビュアー:松浦 達)
 

 
編集長コメント

1位 天才バンド『君が誰かの彼女になりくさっても』:幅広い年齢層から多くの支持を集めた彼ら。レビューの中でも触れたのですが、奇妙礼太郎という人は一部に熱狂的なファンを持っているのでそこからアクセスが集まったのだろうと思うのですが、意外と「この人知らなかったけれどすごくイイ。有名なのだろうか?」という反応もチラホラとあって興味深かったです。musiplがバンドを知るきっかけになっているんだなあという感触を得られて、ちょっと嬉しい気分にもなりました。

2位Chu's day.『Rocking shoes』:彼女たちのHPトップでリンクされている別の楽曲はもっとアイドル的な印象の曲で、それしか見てなければきっと紹介してなかったかもと今は思います。そして、紹介して良かった、それ以前にこの曲を見て良かったとも今は思います。出会いって本当に偶然の積み重ねで、面白いなあと思います。彼女たちのことはいくつか上がっているカバー曲の動画だったりする人が多いようなのですが、いろいろなきっかけから知名度というのは上がっていくのでしょうね。musiplもそういうきっかけになっていければと願っています。

3位dip in the pool『Bali Ha'i』:今月からレビュアーとして参加していただくことになった、MUSIC SHAREの本田さんによる初レビューが3位にランクイン。ベテランの域に達しているdip in the poolのエスニックなビデオはとても面白かったです。その音楽スタイルはかなり変化したかなという気がするのですが、ゆったりとした空間を感じさせる音楽は25年ほど前のdip in the poolと基本的に変わっていないなと感じました。

4位ケリーマフ『イカサマ』:昨年7月以来もう何度目でしょうか(数えれば判るのですが)、月間ランキングに連続ランクインを続ける彼らはここに来てまたランクアップするという勢い。4月には待望のツアーも敢行されます。観に行くのが今から楽しみです。ライブレポートもやろうかなと考えています。

5位KANADe『Happy & Sad』:本田さんが新たにレビュアーとして参加するきっかけとなったレビューが先月に続きランクイン。KANADeのボーカルでもある本田さんが今月後半になって2月のランキング1位だったことに気がつき慌ててツイートしたところアクセスが急に伸びました。もっと早く気づいていたらもっと上位に入っていたのかもしれませんね。

9位ピロカルピン『箱庭の世界』:ビデオとサウンドがこうも相乗効果を生むのだろうかと思うほどのキレッキレぶり。よくよく見るとお寺の本堂で歌っているのを固定カメラで撮影しただけ。アングルを変えたり照明を切り替えたりして飽きないように工夫されていて、ビデオとしても参考になるなあと思います。いやまあ照明機材手配したりお寺借りたりっていうハードルはあるんだけれども、予算無くたってビデオ面白くなるぞ、音楽をアシストできるんだなって、すごく思いました。

10位スキッツォイドマン『ギロチンX』:こういうのホントに大好きっていうと、音楽業界の人としてどうなんでしょうかね?でも好きだから仕方ないですね。メイクして上半身裸でパフォーマンスするのって「なんか飛び道具じゃん、音楽で勝負しろよ」とか言う人も多いですが、じゃあカッコ良さげな衣装でカッコ良さげなロックやってるのが勝負なのかといえば、僕はこの捨て身のパフォーマンスこそ覚悟いるし、勝負だよなあって思います。いや、この人は勝負のためより天然でやってるんだろうとは思うのですが。でもそれがカッコいいなと思うわけです。歌は「クビチョンパ」ですけど。

 3月も終わって、いよいよ新年度。個人的なことを言えば息子も保育園でひとつ年長のクラスになったりして感慨ひとしお。ヤマト運輸のメール便も終了してしまってちょっとした手紙出すのも面倒になるなと思ったりするのですが、皆さんはいかがでしょうか。花見などやりましたか? 先月に続き新しいレビュアーさんにも参加していただき、musipl.comもちょこまかな改善を繰り返したりしてちょっとずつ進化していったりしています。皆さんどうぞ長い目で温かい目で見守ってください。見守るというのは毎日アクセスして最新レビューの動画を見たり、ランダムボタンを押して予期せぬあなただけの動画と出会うということですよ。遠く離れて見守ることはあまり意味ないですよ。

(大島栄二)