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カミナリグモ『Witchy Girl』
【何年前とかじゃない「昔のいつか」に行ける曲】

とても暖かい気持ちになれる。と同時にどこか懐かしい。こういう音楽聴いたことあるよなあというのはもしかするとミュージシャンに対して褒め言葉にはなっていないかもしれないとビクビクしながらも、やっぱりどこか懐かしい。もちろんどこかで聴いたことのあるメロディという意味ではなくて、サウンド全体がノスタルジー的ななにかをグイグイと引き出してくれるような力を持っているという意味で。寡聞にして知らなかったのだが、彼らは2010年にメジャーデビューをした経歴を持っているそうで、確かにその実力はあるよなあということは曲を聴きさえすればすぐにわかる。この曲は今年YouTubeに公開されたMVだけど、音源としては2011年にリリースされた3rdアルバムに収録されているもの。10年前の曲だから、懐かしいといえば懐かしいはずだが、この曲が懐かしいという意味はやはり10年前だからということではないよ。その後2016年に活動を一時停止し、2018年に再開して、昨年再開後初のアルバムを出した。その中から数曲のMVを彼らのチャンネルで公開していて、それを聴くと、実はそんなに懐かしくなかった。現代の曲という雰囲気はなくて、それは未来なのか過去なのかわからないけれどとにかく今ではない空気があった。もしかすると今かもしれないけれど自分のいる文化とは違う何かみたいな空気で、だから彼らの昨年の曲を聴くと、とりあえず「どこか」に行くことができる。実際には行かないんだけど、行ったような気分になれる。だが、この『Witchy Girl』という曲は、「どこか」ではなくて、誰の心の中にもある、何年前とかじゃない「昔のいつか」に心を持っていかれるのだ。とても不思議。それはなんでなんだろうと考えてみるけどよくわからない。だから最新のアルバムと共に、10年前のアルバムもちゃんと全曲聴かなくちゃという気分になる。

(2021.4.29) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl