【大島栄二が選ぶ5曲】


SHELLEY HARLAND『IN THE DARK』


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 音楽だけでなく動画も併せてメッセージ性を帯びるという点で、立体的な作品だと思います。知人から「音楽レビューを読んで泣くなんて初めて」とコメントを寄せられて、とても嬉しかったことも記憶に新しいですね。(大島栄二)

 

 音数の少なく、音と声に自信あるからこその裸一貫勝負みたいな歌なんだけど、1分50秒位からスタジオ職人の影包丁入りまくる。裏方が顔や存在を全く感じさせず、アーチストそのものの活かし方は匠の技ですね。(北沢東京)

 メッセージの伝達性といいますか、ときに音楽はある囲いを越えて、複層的な意味を含むと思います。そういう意味では、この作品で醸し出された抒情はmusipl.comの通奏低音なのかな、と想いもします。基本的にこのサイトは涙を掬っているという意味でも。(松浦達)


羽田りさ『always』


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 ショッピングモールで歌われている可憐な声。無名な音楽を発掘するという以上、CDも出ていないこういうのを取り上げたいと最初から思っていて、それが出来たなと自分でも達成感のあったレビューです。こういう曲のレビューがあるから、musiplは存在意義があるんだって自負してもいるのです。(大島栄二)

 

 ミュージシャンが「歌うことそのもの」について唄うことがあって、その歌はもうその人の持論でなく分身というか、思い入れは特別であってほしい。このライブは胸いっぱいの気持ちが伝わってきていいですね。(北沢東京)

 僕自身は男性のSSWや辺境の音楽を取り上げることがままありますが、大島さんは女性の「個」の声を拾い上げるのが本当に巧いです。それは男性/女性という性別を越えて、繊細な襞に感受性が引っかかるのかもしれません。彼女の声もより響いてほしいと思っております。(松浦達)


吉澤嘉代子『未成年の主張』


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 北沢東京さんが最初に紹介してくれたレビュー。つまり僕以外が記事を寄せてくれたという意味でmusiplが立体的になった瞬間でした。しかもこれ、とてもプリティで射抜かれました。僕自身が知らない音楽に触れた貴重な体験でしたし、誰かが紹介する音楽を別の他人も楽しめるはずだって実感出来た思い出のレビューです。(大島栄二)

 

 音楽的にどうこうではなく、UFOを目撃したら人にしゃべっちゃう、そんな遭遇だった。(北沢東京)

 北沢(東京)さんのレビューは茶目っ気と同時に、真摯な審美眼がありまして、私も唸らされます。言葉はその人となりを表しますからして、硬化しかけたときに北沢さんの言葉で浮揚することがあります。そういう意味で彼女の、また、この曲は感慨深かったです。(松浦達)


lyrical school『ひとりぼっちのラビリンス』


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 lyrical schoolは僕もアナログ持ってて、これをセルフレビューで寄せられた時は「やられた!」って思いました。アーチストが自分を宣伝する効能もあるセルフレビューですが、ファンの方が「これ好き!」と推薦してくるのは、ある意味僕らレビュアーが日々やっていることと同じで、文章の寄せ方の違い以外は曲に対するスタンスは同じなんだなと改めて感じたのです。これからもセルフレビューをもっともっと活用してもらって僕が「やられた」と思うことが多くなればいいですね。(大島栄二)

 

 サウンド的にトクベツ感の無さが異常なんだけど、唄ってる内容が、誰かとそれなりに親しく過ごした後で、ひとり、あんな言葉あんな態度を思い出して気持ちの迷宮で「あ゛ーーーーー」ってなってることをループしてて、これは凹んでる時に聞くと大変に刺さる歌ですね。(北沢東京)

 セルフレビューというのもこのサイトでは積極的に募集している訳ですが、批評性とのバランスの狭間を想うことがあります。ゆえに、こういったテキストがより増えてゆく中で、既存のレビューも俯瞰的に見渡せるのではないでしょうか。(松浦達)


HAPPY BIRTHDAY『こころの王様』


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 息子の2歳の誕生日に公開したレビューで、とても個人的なレビューになって申し訳ありませんでした。でも、感想なんて結局は個人的な想いの結晶のようなものだから、それはそれでいいのではないかと思うし、これからもめげずにときどきこういうのをぶち込んでいこうとひそかに企んではいます。(大島栄二)

 

 大富豪だって三冠王だって悩むし、誰も悪い人は居なくても悲しいことは起こる。だから、子どもには悲しみに対処するサバイバル術をしっかり教えるべきだと思う。道徳的な教科書で教える方法もあるのだろうけど、説教じゃなくて、いい歌やいい映画を適度に持たせてあげることで、いつか凹んでる自分や他人を救う時がくるんじゃないかなぁと。(北沢東京)

 個人的な状況を挟みながら、それでも、進むのがこのmusipl.comだと思っております。ときにレビューとして成立していないとしましても、伝えようとする何かが行間にこもっている限り、読み手は想像力やこれまでの体験をほのかにそこに重ね合わせるでしょう。難しいことはなく、ただ、どうにもならないこともなく、血の通った言葉が今後も続いてゆくという意味ではこういうレビューも大切だと感じました。(松浦達)

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300レビューを超えて(文=大島栄二)

 日曜日を除いて毎日、だから300レビューちょっとで1年が経過したことになります。たかが1年、されど1年。300アーチストを紹介するというのは結構大変で、僕1人では出来なかったことでしょう。北沢東京さんや松浦さん、その他にも数人のレビュアーさんに助けてもらいながらここまでやって来られました。

 300組を毎日紹介するということの物理的な大変さだけではなく、1人でやっているとどうしても偏りが出てくるという問題がありました。もちろんその偏りが個性ということでステキでもあるのですが、サイトとしてのバラエティ感と公平さというものは失われていきます。そういう意味でも、協力してくれるレビュアーさんに恵まれたのはとてもありがたいことだと思っています。

 「公にレビューをするというのは、最初は軽い気持ちだったけれども、そのアーチストの何かに影響を与えてしまうし、やっているうちにその責任の重みというのは予想以上に大きくなった」と、あるレビュアーさんに言われたことがあります。よく考えればそうですね。アーチストは敏感に反応するわけで、軽々にやっていいのかという気持ちが芽生えてくるのは当然のことです。Twitterのアカウントで告知したツイートをアーチスト自身がリツイートして、「ありがとうございます!」という反応はよくありますが、たまに「このレビューの解釈、違ってる」とこっそりつぶやかれているのを目にすることもあります。その直後のツイートが「それでも聴いてくれて感じてくれたことに感謝!」だったりすると、複雑な思いさせてゴメンねという気分になったりします。それでもトータルではアーチストにとってプラスになってるはずだし、音楽シーンの活性化につながるんじゃないかと、強い気持ちで進んでいきたいなと思うわけです。

 さて、1年間淡々とアーチストを発掘して紹介してきました。それで300を超えるアーチストと出会ったわけですが、今後はこのやり方を少しだけ変えていこうと考えています。

 具体的には、過去に取り上げたアーチストの別曲を紹介したりしようと思うのです。一度紹介したアーチストも1年経つと新しい作品を生み出していて、その新しい動きを伝えることもサイトの役割のはず。まだ紹介していないアーチストを探すことだけにこだわり過ぎると、結果的に重箱の隅を突つくだけになり、伝えるべき音楽を蔑ろにする可能性があるでしょう。だから、既に紹介しているアーチストに再登場してもらうようなことを、新たな取組みとしてチャレンジしていきたいのです。2曲目3曲目と紹介することで、その人の音楽が立体的に見えてくるのなら、それもいいかなあと。もちろんまだ見ぬ音楽はたくさんあるわけで、今まで通りの発掘作業もしっかりとやっていきますのでご安心を。

 ともあれ、北沢東京さん、松浦さん、他のレビュアーの皆さん、1年間お疲れさまでした。そしてもちろん、見にきていただいているファンの皆さんどうもありがとう。まだ終わりじゃないです。これからもますます、よろしくお願いいたします。

 

2014.8.27.寄稿
 


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