2014年のmusipl.comでのアクセス数上位20記事はこちら!

 
1位 脱・国境化、伝承化される「うた」のために、2014年のくるり
 今年のくるりは、再び京都を離れ、新事務所の立ち上げ、東京に軸を置きながら、多様にしてこれまで通りのオルタナティヴな姿勢を崩さずに、日本のロック・シーンのより核心に近い場所から新たに既存の価値観を再定義し、内破してゆくような活動が目立った。過去のくるりの来し方と、多面的に、文化/伝統/音楽を彼らなりに嚥下し、今の感性で… (文:松浦 達)
 

 
2位 排除しないこだわり
        ―GREAT3『愛の関係』によせて
 GREAT3の2012年の9年ぶりの活動再開は、ミュージック・シーンに大きなメルクマールになった。解散でもなく、活動休止期間が長くなってくると、余計な心配も生まれてしまうのは常で、特にポップ・ミュージック・シーンにおける時代の速さと活動そのものを続けることは厳しくなっている。ただ、このmusipl.で紹介されているように、数多く多彩な音楽は生まれ、引き続き航行している… (文:松浦 達)
 

 
3位 ケリーマフ
『イカサマ』
 コワい。いや、カッコいい。このシャウトの仕方が、本当にシャウトというか、吠えているというか、悪態をついているというか、かなり独特で耳からなかなか離れてくれそうもない。これだけ吠えまくりなのにしっかりと音楽になっていて、とても面白い。ロックバンドの人は楽譜なんて読めなくて当たり前とか、いやいや楽譜も読めなくて音楽が出来るかとか、もはやそんな論争など意味不明なくらいに、この歌メロを楽譜に… (レビュアー:大島栄二)
 

 
4位 おぐまゆき インタビュー
『9弦ギターを使う意味』
 おぐまゆきという人は変わった人である。そもそも音楽をやっているというだけで一般社会人の基準からいえばかなり変わっている人種ではあるのだが、そんなミュージシャンの中でもおぐまゆきは変わっている。まず、持っている楽器が変わっている。12弦ギターだ。12弦ギターというのは普通のギターより6弦多く、豊かな響きを鳴らしてくれる、どちらか… (文:大島栄二)
 

 
5位 音楽を楽しむ能力
 音楽を楽しむために必要なスキルを身に付ける方法ときっかけ
 音楽を楽しむというのは、実はとても能力の要ることだ。能力が無ければ音楽を楽しむことは出来ない。そのスキルを人はどこで獲得するのだろうか… (文:大島栄二)
 

 
6位 絶望ルーシー
『狂気のサタデイ』
 高校生がパンクロックをやるとこうも初期衝動がストレートに出てくるものなのだろうか。自分が高校生の頃のことを思い出してみるともっともっと狭い世界で蠢いていたような気がする。インターネットも携帯電話も無かった時代と比較してももはや意味など無いのかもしれないが、世界に開かれているようでいて教室とネットの闇に幽閉されたような気持ちは今も昔もそれほど変わらないのかもしれないし、同様に… (レビュアー:大島栄二)
 

 
7位 コアラモード
『Hello Hello Hello』
 この軽快なポップチューンは一体なんなんでしょうか。あんにゅさんのボーカルも可愛くてステキだし、完成度がとても高くて、動画と呼べるのかどうか微妙でしたが、紹介したいというこの衝動を押さえきれません。小川美潮や矢野顕子などのハイセンスで個性豊かなボーカリストの系譜に入れてもいいのではないでしょうか。そういう系譜に入るボーカリストは往々にして特徴だけが突出して実力が伴わないもので… (レビュアー:大島栄二)
 

 
8位 不良の音楽
BABYMETALの躍進に見る「不良」性の魅力について
 ここしばらくで驚いた話題といえば、BABYMETALがレディガガのツアー前座に抜擢されたということだ。アメリカで大物アーチストのライブに行けばわかるが、日本と違って前座バンドがいることは当たり前である。ツアー全体に帯同するような前座もあれば、公演地の人気者がその公演だけ前座を勤めるということもある。その辺はイベンターとアーチストのマネジメントによって決まるのであり、今回のBABYMETALが… (文:大島栄二)
 

 
9位 ママレイド ラグ 田中 拡邦 インタビュー
『音楽とは僕に取って、背景に無言で流れているものなのです』
 堅実に、キャリアを重ねてきたママレイド ラグ。現在は、田中拡邦氏のソロ・プロジェクトとなっているが、このたび、6枚目となるオリジナル・アルバム『So Nice』を5月14日にリリースする。そこで、musiplとしてはいち早く彼の言葉を届けたいと思い、メール・インタビューを試みた… (文:松浦 達)
 

 
10位 くるり
『Liberty&Gravity』
 改めて、くるりという存在の異質さと真っ当さを際立てる曲だと思う。今でこそ、「東京」、「虹」、「ワンダーフォーゲル」、「ばらの花」、「Remember Me」など数多くの曲とメンバー変遷の中で都度、フォーマット・チェンジしてゆく中でも、その“流浪の佇まい”をして着実な支持をされてきたバンドとして既に15年目を越え、こうして続いている。若いバンドメンの方によく聞く。くるりのカバーをしようと思うと… (レビュアー:松浦 達)
 

 
11位 音楽で見られる夢や幻想を再定義するために
        デデマウスというアーティストの矜持
 デデマウスと筆者は同世代、簡単に言えば、同学年になる。だからなのか、通過してきたカルチャーや彼が見据える景色や言葉には共振してしまうことが多い。バブルを知らないこと、テクノ・ミュージックへの影響、ニュータウンへの視座など… (文:松浦 達)
 

 
12位 世界のんびりヴァーチャル音楽紀行(仮題)
                  第0回 台湾
 このmusiplというサイトでも多種多様な音楽が日々、紹介、レビューされていますが、そういった心持ちは保った下で、パスポートは持っていなくても、条件資格はなく、自由にアクセスして、なにか気になりましたら、さらに鉱脈を掘り下げていけば、色眼鏡を抜きに視野が変わるのではないか、という願いを大層ではなく、ささやかに込めております… (文:松浦 達)
 

 
13位 岸田繁(くるり)×ダージリン
『橋の下』
 京都発信メディア、という訳ではなくとも、いまだにどんとの存在は大きい。彼が生前、ローザ・ルクセンブルグ、ボ・ガンボス、ときにソロとして活動を行なう軸には学生、働き人、むろん、長く生活している長き伝統と“いっとき”の通過する都市としての「京都」という象徴を通じて、または多彩なロックンロールのルーツたるミュージックから、どんな所属の人でも自在に楽しめる“ごった煮”の音楽そのものへの開放の意思が… (レビュアー:松浦 達)
 

 
14位 最終少女ひかさ
『商業音楽』
  本気のバンドマンにとって、「金と時間もらって俺達はここに立ってる」の言葉がすべてじゃないでしょうか。最近は音楽にお金を使わないことが普通になってきたというニュースを最近よく目にしますが、そういう中でもやはりお金を使ってライブに来てくれたりCDを買ってくれたりする人が少なからずいて、そういう人の前で趣味でやってるのはやはり不誠実だと思うのです。「趣味の音楽でも良いモノは良い」なんて言葉は… (レビュアー:大島栄二)
 

 
15位 STAYCOOL
『Through the Viewfinder』
 STAYCOOLというある種、ストレートなバンド名と比して、彼らは老成から始まっている。兵役を終えて、社会人としての20代半ばのメンバーたちが集まり、紡ぎ出した音楽は台湾という場を越えて、涼やかな感触をもたらせた。2013年には、日本デビュー盤として『Urban Canyon』がリリースされたのもあり、存在は日本国内でも認知され始めた。また、シティ・ポップを軸にスイートなポップを届けながら… (レビュアー:松浦 達)
 

 
16位 銀杏BOYZ
『ぽあだむ』
 この、ストーリーテリング的なMVの中盤からカット・アップされる沢山の女の子の投げキッスの画像に挟まれ、マッドチェスター的なサウンドに切ない歌詞が乗り、ダンサブルに煌めく。平面的にこの向こう側の被・視聴者たちとこちら側にいる視聴者は郵便的に、届かないもどかしさを抱えて、ソーシャル上にリビドーや複雑な感慨を表面張力のように溢れさせるのだろうか。銀杏BOYZは単発で曲は発表し… (レビュアー:松浦 達)
 

 
17位 くるり『The Pier』巡礼
―私たちの耳は見えているか
 実作品が店頭に並び出す頃、そうではなくとも、正式にリリースされる頃、今でこそ、フライングゲットといった言葉が戯画化もされていますが、何かをじっくり待つという行為は意義深さの質が変わってきていると感じます。明日そのものが見えにくくなっている中、その明日が「今日」になるという代え難さ。配信や郵送も嬉しいですが、自分で選択肢を択び、歩みを進める愉しみは、一度は経験した人もおられると思います… (文:松浦 達)
 

 
18位 BUCK-TICK
『惡の華』
 BUCK-TICKは僕がビクターレコードに入った年の看板アーチスト。ロックバンドブームが巻き起こっていたまさにど真ん中の頃のバンド。それが平成元年なのでもう26年。無論インディーズ時代もあり、来年には結成30年を迎える。映像を見ても判るが、解散して再結成したようなバンドとは明らかに違う最先端現役の迫力を持っている。浮き沈みは多少あろうが、この年末にも恒例の武道館公演を実施する… (レビュアー:大島栄二)
 

 
19位 あららら
『さよならせかい』
 カワイイ。あらららという脱力感溢れる名前のバンドが贈るMVはボーカルのぽんぽこたろーが体育館(?)を駆け巡る中で次々といろいろなステージを見せてくれる。最後の演奏シーンだけで十分に楽しめるはずなのに、あえてこういうビデオを作って楽しませてくれる。しばらく前にOK Goの新作をレビューしたが、そこで「出来る範囲の出来そうもないことにトライして実現していく積み重ね」ということに言及したが… (レビュアー:大島栄二)
 

 
20位 『音楽が沈黙しない齟齬について』
  Musiplの今後の可能性によせて
 愚かな人間は沈黙しているのが最もよい。だが、もし、そのことを知ったならば、その人は愚かな人間ではない (トルストイ『断片』より)/私的に、沈黙に耳を澄ます瞬間が逓減しているように思えます。ヘッドホン、雑踏、誰かの声、家族との会話、少しの自分の時間での沈黙、そこで何を伝えようと思えるかどうか、それは日常の生活をおくるにあたりまして、ほんのささやかなプラス(+)です。/今や、政治的に黒か白か… (文:松浦 達)
 

 
次点 ATOMS FOR PEACE
『Rabbit In Your Headlights』
 想えば、不思議なことでもあるが、今はどんどん、アーティスト・サイドからオフィシャルに無料でライヴ映像を公開するのである。これは、UKのバンドにして今や世界的にもはや、高く祭祀に置かれているともいえるレディオヘッドのフロントマンのトム・ヨークがサイド・プロジェクト的に組んだアトムス・フォー・ピースの昨年の来日における東京公演でのある一曲を巡ってのものだ。しかも、これはUKのジェームズ… (レビュアー:松浦 達)
 

 
編集長コメント

 毎月のアクセスランキングではレビューページに限定したランキングを発表しているのですが、2014年アクセスランキングでは記事ページも併せた総合ランキングです。上半期に続き、興味深い結果が出たと思います。

 1位のくるりの記事。くるりについて長年にわたり記事を書いてきた松浦氏のくるり2014年評が12月の記事公開にもかかわらず多くのアクセスをいただき、結構なダントツぶりでの第1位になりました。くるりのファンにとって松浦氏の言葉はやはり重要な意味を持っているのでしょう。多くの音楽ライターさんにもツイートなどで紹介していただいたようですし、注目を浴びました。

 2位にはこれも松浦氏によるGREAT3の記事。musiplで初めて右のスペースにバナーを貼った記事でもあり、感慨深いです。毎日コンスタントにバナーからのアクセスがあり、予想してはいたものの効果はあるのだなと実感。もちろん、GREAT3の9年ぶりの活動再開という、音楽ファンにとって大注目の出来事だったということもアクセスが多かった要因ではあります。

 3位にはケリーマフの『イカサマ』が堂々ランクイン。これがレビューページのアクセス1位です。7月の紹介以来ずっとコンスタントにアクセスがあり、マンスリーランキングにも常に10位以内に入ってきていた彼ら。楽曲とプレイスタイルのワイルドさはもちろんのこと、ファンが一体になってレビュー記事を拡散してくれ続けていた様子。そういう地道な応援の積み重ねが、多くのバンドの中から頭をひとつ抜け出させる後押しになるのではないでしょうか。

 その他、触れたいことはたくさんあります。7位に入ったコアラモードはメジャーデビューが決まったそうです。12位ののんびりバーチャル音楽紀行では、知らない世界中の音楽に触れるきっかけを得たような喜びがありました。14位の最終少女ひかさもまた地道にアクセスを集め続けているレビューですし、本気の音楽活動をそのまま歌にしたこの曲はとても勇気を与えてくれるパワーを持っています。18位には12月から始めた土曜の温故知新レビューからBUCK-TICKがランクイン。今も武道館を埋め尽くす彼らのファンたちが熱心にリツイートなどしてくれたことが多くのアクセスにつながっているようでした。やはり現役のカリスマは違います。19位のあらららもとてもカワイイ音楽とビデオで、北海道には才能があふれているなあと改めて実感します。20位には松浦氏が寄せてくれた最初の記事が滑り込みました。僕が勝手に始めたこのmusiplを理論的にカバーし、骨組みを作ってくれたような記念すべき記事でした。とても感謝しています。

 そんなわけで、2014年はmusipl.comが1年を通じて活動をしてきた最初の年でもあり、その年のアクセスランキング20は、やはりとても興味深いランクとなりました。ここに入っていないレビューや記事にも素晴らしいものはたくさんありました。レビューや記事というより、音楽がです。音楽が廃れているなんて言う人もいますが、そんなことはないと本当に思います。2015年も音楽の良さを伝えていけるように頑張っていきたいと思います。

(大島栄二)