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カメレオン・ライム・ウーピーパイ『Play With Me』
【ボーカリストとしての成長と突き抜け】

極めてキレのいい曲だしボーカルだ。彼らのホームページのようなリンクツリーのようなページにあるプロフィールによれば「音楽性を一つのジャンルに定義することは非常に難しい」と書いてある。であれば過去の曲を一通り聴くしかないわけで、Spotifyなどで全曲聴くこともできるが、とりあえずYouTubeにあるMVを全部観てみることにした。そこから感じたのは、彼らが現在進行形で進化の途中だということ。トラックについては初期の頃(といっても2年ほど前)からほぼ完璧に近く問題はないのだが、ボーカルがそれについて行けてない印象がある。下手だとかではないし、十分なクオリティは既にある。だが、なんというか出来上がっているサウンドに残りのピースとして合わせているような印象があったのだ。時にヒップホップのようなサウンドにはヒップホップなボーカルとしてこういうものが求められているのだろうと想像して、そこに自らを当てはめていく。断っておくが、その当てはめていくということさえできないボーカリストがほとんどだ。だからそれができている時点で普通なら十分のはず。だが、面白くないんだよなあそれでは。それではただのお飾りボーカルでしかない。バンドとして突き抜けるためには、ボーカルが空けてある穴に自分を合わせていくのではなく、穴の周辺をぶち壊して切り取って、自分が自由に居られるスペースを確保してドンと収まる。当然隙間ができるので、「ホラホラ、ここに穴があるから(できたから)楽器でちゃんと埋めなよ」と言って、演奏陣の更なる努力を促す。あるいは、「もう多少の隙間くらいどうでもいいじゃん、これが自分たちだから、聴くやつが脳内でその隙間を埋めろ」くらいな態度でドーンとやっていく。そうすることで真に自由でのびのびとしたボーカルが誕生するし、そういうボーカルこそ、聴いていて楽しい。そのためには自分の一番素敵な状態というものをボーカリストが理解している必要があるわけで、そこに至るのは容易ではない。それを彼らは数年の間に理解して獲得して実現してきたんだなあと、過去MVと今作を観て聴いていくうちに理解できた。もちろんそれはボーカリストと演奏陣の協力でもありバトルでもあって、同じ状態がずっと維持されることも稀だ。だから次以降の作品も同様に素敵になるとは限らないが、少なくとも期待はできる。大いに期待できる。

と、ここまで書いて、プロフィール欄に「Chi- によるソロユニット"カメレオン・ライム・ウーピーパイ"」と書いてあることに気づく。ソロユニットなのか〜。バンドじゃないのか〜。ま、完全宅録一人歌唱ということもなかろうし、スタッフとのせめぎ合いとか、組んでいるトラックメイカーとの攻防とかは常にあるはずで、その中でボーカリストとしての成長をしていることは間違いないのだから、このまま筆を置くことにする。

(2021.6.22) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl