<!-- グーグルアナリスティック用のタグ -->

東京スカパラダイスオーケストラ『水琴窟 feat.上原ひろみ』【実力のぶつかり合い】

スカパラの代表曲って一体なんだろうと思っても思っても思い浮かばない。でも曲を聴けばスカパラだとわかる。それはほとんどどの曲にも現れる主にドラムのスカビートがスカパラだと教えてくれるからだ。スカパラはホーンセクションがどうしても目立つのでホーンセクションバンドと思われているが、やはりそのバンド名の通りスカバンドそのものなのだろう。1990年に衝撃的なデビューをした頃はインストなのにこんなにカッコいいという他に類を見ないカリスマ性で存在感を示したが、それでもやはりポップロックシーンで歌が無いということがハンデとなったのだろうか、ギムラが歌ったり、外部ボーカリストを迎えたりするようになった。個性的なサウンドとコラボすることはボーカリストたちにも大いなるメリットがあったのだろう、大物シンガーとの組合せが続き、話題になる。スカパラもそのビッグネームを利用し、ビッグネームたちもスカパラを利用したという指摘は誰も否定出来ないだろう。だがどうなのだろう、大物ボーカリストとコラボすることによってリスナーの耳はどうしても歌に引っ張っていかれることにもなり、それら作品の中でスカパラは存在感を発揮できたのだろうか。ビジネス的話題的にはメリットがあっても、音楽表現としては主役としてのバンドから脇役としてのバックバンドに退いたという一面もあったのではないだろうか。もちろんそれを認めてなお存在感が消えることの無い個性を逆に打ち出せたということも否定出来ないし、スカパラのしたたかな底力を見せつけているとも言えるのだろうが。彼らのコラボシリーズは今もずっと続いているが、そんな中僕が一番ステキだなと思っているのがコレ。ジャズピアニスト上原ひろみとの共演は双方インストでのぶつかり合いで、だからどちらがどちらに引っ張られるも覆い隠されるもなく、それぞれの特徴が個性が演奏に十二分に現れていて、ああ、どちらも実力者だなあ、その実力のぶつかり合いが、バトルなのに嬉しそうで楽しそうで、音楽はリスナーがあって初めて成立する表現なのに、この曲で両者はリスナーのことなんてすっかり忘れてただただプレイしている、そんな光景が聴いている側にも伝わって来て、音楽って楽しいものだなあと感じられてステキだ。個人的に特に好きなのが2分50秒くらいから上原ひろみのピアノソロパートが始まって圧巻なのだが、その直後3分30秒くらいから今度はスカパラ沖のキーボードソロが始まる。ピアノ奏者をゲストに迎えた楽曲ではどうしてもピアノを立てるためにキーボードが一歩退くのかなと思っていたがそんなことはなく、わざわざピアノの後にキーボードが中心になるパートを持って来て、そこでは上原のピアノも一歩も二歩も後ろに下がってバッキングに徹し、キーボードを中央に押しやろうとしている。美しい。実力のあるプレイヤーがお互いをリスペクトしつつ、自分の実力を出すべきところで全力で出す。音楽の楽しさを感じられる。

(2016.8.13) (レビュアー:大島栄二)


ARTIST INFOMATION →