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メタボリックシンジゲート『MVの再生回数が戦闘力に見える。』【昔はオリコン、今はYouTubeの再生回数】

MVの再生回数、今っぽいよね〜。歌詞の中で「頭ではわかってるんだ、数字がすべてじゃないってこと」と言ってて、それがわかってればMVの再生回数とか気にすんなよというのが正しいアドバイスなのか、それともいやいや気にしろよ再生回数というのが正しいのか。そこは本当に難しいです。業界歴長いので言っちゃいますけれど、その昔はオリコンの順位というのが日本での音楽が売れてるかどうかの指標で、だからメジャーレーベルはいろいろと工作もしていました。時効だろうと思うので言っちゃいますけれど、昭和から平成初期の頃、オリコンのランキングはすべてのレコードショップの数字を調査しているのではなくて、いくつかのショップのデータを基にして決められていて。しかも当時はまだPOSレジも無かったのでショップのオリコンデータ担当店員が手書きの表を作成してオリコンに提出するというシステム。どのお店がオリコン調査対象店なのかはメーカーにはちゃんとわかってて、重要商品についてはちゃんとランキング上位に入るようにそれ相応のお礼をしつつランキング工作というのをしていました。重要商品というのは主にプロダクション対策で、どことは言いませんけれど怖いプロダクション、ザ芸能界みたいなところの歌手をお預かりする以上ちゃんとオリコンの上位に入れないといけない。そのランキングは当時のベストテン番組のランキングの資料にもなるので、上位に入ればテレビにもたくさん出て、結果レコードも売れるので持ちつ持たれつ的な、まあそんな感じでしたよ。

で、現在はオリコン順位とかそんなに誰も気にしてなくて、やっぱりYouTubeでのMV再生回数ですかね。本当にこれが戦闘力に見えるから不思議です。再生回数が多いと「お、このバンド売れてるのかな」とか普通に思うもの。なのでまあ、みんな気にするんでしょうね。してもいいと思いますね。無料のMVでさえみられていないような曲が、CDや配信でバンバン聴かれるのかというとそんなことはネ〜だろ、というのが正直な感想なので、まあみんな再生回数を上げる努力を心がけてくださいと思います。

で、ここで再生回数を上げるための方法として、YouTubeで広告を打つという方法があります。これは誰でも出来る工作なわけで、その昔のオリコンチャート工作は全国のショップとダイレクトに結びついてる大手レコードメーカーからリリースしてて、なおかつそこに睨みを利かせられる大手プロダクションに所属してないとできないことだったのに較べ、YouTubeへの広告は誰だってできる。予算は必要だけど、誰だってできる。そういう意味では公平で素晴らしい。MV制作だって昔は多額の費用がかかったけれど今なら誰だってスマホでできたりする時代なので、ホント公平で素晴らしい。さあバンドマンのみんなはどんどんYouTubeでMVを公開して広告工作をしよう!

いやまあ、それも世知辛いというか、工作した曲ばかりを聴かせられるのかリスナーにとっては不幸な時代かもです。そういう観点でいえば、このメタボリックシンジゲードみたいに、MVの再生回数への憧れを前面に押し出して歌っていながらも、公開から1ヶ月ほど経過して3000回の手前という再生回数の曲のなんとピュアなことか。応援したいと思います。musiplとしては広告なんて出してもらってないけれど、応援しますよ。みんな見てね、聴いてね。

(2019.6.3) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl