<!-- グーグルアナリスティック用のタグ -->

SUPER BEAVER『ひとりで生きていたならば』
【今はどんな形でもどんな規模でも良いから】

SUPER BEAVER再メジャー契約、その第1弾シングルが先週リリース。喜ばしいニュースがある一方、ほぼすべてのアーチスト同様に彼らの15周年を記念したツアーが延期。シングルリリースはずいぶん前から決まって準備も進めてきただろうし、リリースに自粛は必要ない。なので再メジャーマキシからは2曲がMVとして公開されている。ただ、ファンとはなかなかつながれない。そんなこともあってか、同名曲の公式MVとは別に、公式MV公開の2日後に、THE HOME TAKEとして一発撮りの映像が公開された。それがこれ。公式MVの派手な衣装に負けないくらい派手なシャツ。私服かよ! その驚きの直後に繊細なアカペラの歌唱。バンドによる正式バージョンもイントロはアカペラから入るが、バンド版が当然の様に複数の音が絡んでいくのに対してこのホームテイク版ではアコギのシンプルなストロークが重なるだけ。それ故にボーカル渋谷の歌唱の繊細さが際立つ。日頃力強いシャウトが特徴的で印象に残る渋谷だけに、このバージョンが与える彼のボーカリストとしての印象はとても貴重なものだと思う。

この曲はシングルに於いて『ハイライト』という曲とダブルA面(古い?)になっていて、僕個人としては『ハイライト』の方がSUPER BEAVERらしい勢いのあるロックナンバーで大好き。『ハイライト』が与えてくれる未来への鼓舞のようなメッセージ性も力強く、あああ、SUPER BEAVERを聴いてるなと実感できる。それに較べるとこの『ひとりで生きていたならば』はちょっとだけ毛色が違うように感じる。通常の彼らが前方向に外に外にとエネルギーを放出しているのに対し、この曲では内側に向かっている。しかしながら他の誰かとつながっているということの価値について静かに、シャウトしながらも静かに歌っている。このTHE HOME TAKEというシリーズは7ヶ月前に始まっているので必ずしも新型コロナで自粛という状況を受けての企画ではないのだけれど、まるでこの自粛期間のためにあるような企画で興味深い。しかもこの曲は「つながっていること」の大切さについて歌っているので、まさにこの企画のため、自粛で親しい人にも会えずにいる人たちのためにあるようだといえる。この企画は人気らしく、動画公開後6日で120万回の再生回数がカウントされている。SUPER BEAVERチャンネルの公式MVが34万回なので、みんなオリジナルを見ろよ聴けよと思うのだけれど、まあ大型フェスと単独ライブの違いのようなもので、単独ライブを大型フェス並みにするのはどのバンドも大変なんだよな。しかしフェスであれ単独であれ、ライブ自体がままならない昨今なので、今はどんな形でもどんな規模でも良いから、ひとりひとりがつながっていられることが大切なんだよな。

(2020.6.27) (レビュアー:大島栄二)


ARTIST INFOMATION →


review, SUPER BEAVER, 大島栄二

Posted by musipl