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Kiyoshi『Warning』【ベースソロで楽曲として成立している素晴らしいパフォーマンス】

この怒濤のスラップベース。その昔はチョッパー奏法といって、爆風スランプの江川ほーじんがもの凄いチョッパーベース弾いてるっていう話で、ライブ観に行ってもコミカルでエキサイティングなパフォーマンスよりもほーじんのチョッパーばっかり見てたような記憶しかない。そのくらい、このスラップベースはカッコイイし、いつもは地味で目立たないリズム隊のベーシストがサウンド的にスポットライトを浴びる最大の武器になる。だいたい「目立つのが嫌いな人がベーシストになるんだよ、目立ちたいヤツはギターを選ぶ」という話がまことしやかに言われるけれども、別に目立ちたくないからベースを選ぶなんてことばかりじゃない。高校か大学の音楽サークルに入った時にギターやりたがるヤツばっかりだったからベースを選んだというケースもあるし、何の楽器をやろうかなんて、最初の頃にはそんなに真剣に考えてないことがほとんど。バンドのライブで通常だったらギターソロが入るような場所でステージの中央に立ってスラップベースで喝采を浴びるベーシストを見れば、ベーシストがみんな目立つの嫌いというのは根拠のないデマだというのがよくわかる。

特にこの人、ベース弾き語り。正確には弾き語りというのとはちょっと違うけれど、ベーシストがソロ名義でアーチストとしてやっていて、曲の間中歌いながらもスラップベースを弾いているというのは、もうそれだけで圧倒的に個性的だといえる。Kiyoshiというアーチスト名から男性ミュージシャンかと思ったし、この声質も男性っぽいと思っていたら、女性ベーシストだった。これだけ弾ければ男性とか女性とかどうでもいいし、女性性を前面に打ち出した印象もないので、ただのスーパーベーシストとしてその迫力のパフォーマンスを堪能するだけで良いのかもしれない。寡聞にして彼女のことはまったく知らなかったけれど、歌も歌わずにベースインストの楽曲でもいいんじゃないかとさえ思う。しかしそれでは多くのリスナーには届かないのだろうな。ベースの奏法に注目する人はどちらかというとマニアなのだろうな。そもそも彼女自身がベースを前面に押し出したいということを最重要視しているとも限らないし。そう思って他の動画を見てみたら、有名アーチストのカバーをスタジオでやってる映像とかも公開してて、知名度を上げるためにいろいろやってるしやらなきゃいけないんだなあと実感する。この動画ではバンドとして他の楽器の音もたくさん入っているけれど、彼女のYouTubeチャンネルにたくさんある「ベースソロで楽曲として成立しているパフォーマンス」にこそ、彼女の素晴らしさが端的に現れていると思う。そういうのもぜひ観て欲しいものだよ。

(2020.2.11) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl