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松任谷由実『Hello,my friend』【SNS時代の、春は別れの季節】

春は別れの季節。卒業によって半強制的にそれまでの人間関係から切り離される。今ならば、SNSでつながってさえいれば連絡を取り合うこともできる。無理に連絡を取らなくても、相手が投稿し続けてさえいれば近況を知ることができる。しかしそんなSNSなどなかった時代は、よほど強い結びつきを互いに求めなければ、卒業で完全に切り離されることになる。携帯電話もない時代には、連絡先を交換してもそれは実家の電話番号でしかなく、そこにかけて長電話というわけにはいかない。一人暮らしすれば自分だけの電話番号を持つだろうが、引越しすれば電話番号は変わってしまう。僕の大学時代の手帳に書いてある電話番号リストで、今も活きているのは1%にも満たない。

この曲は1994年、平成6年の曲。当時は携帯電話はまだまだごく一部の人たちのもので、だから卒業で切り離されるというのがまだ当たり前だった時代の曲。この曲は恋愛が破局して、もう恋愛以前の関係には戻れない相手への未練といった内容で、だから春が別れの季節ということとは直接関係ないのかもしれない。むしろひと夏の恋の終わりみたいな、バブル期の浮かれた恋愛模様についての歌だといった方がいいのかもしれない。しかし、そこは歌の力。しかもユーミンの力。歌詞の内容に関係なく感動させる曲の力がすごいし、その中で「もう2度と会えなくても友達と呼ばせて〜」と歌われたら、友と別れる全人類が泣く、みたいなパワーで切なくなる。

SNS時代で、離れ離れになってもずっとつながっていられる世の中とはいえ、小中校生あたりはどうなんだろうか。自分のスマホを持ってつながりあっているんだろうか。そのつながりが逆に面倒臭くて、卒業でサッパリと無関係になりたいのになあというような、新たな悩みも生まれてきているのかもしれない。

(2021.4.3) (レビュアー:大島栄二)


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Posted by musipl