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伊津創汰『はっぴーえんど』【音楽の力ってすごいなと、改めて実感させられた】

シンプルに爽やか。歌詞の出だしはストレスフルな日常への不満をずっと繰り返していて、もっと心がどんよりとしてもいいはずなのに、そんなふうにはまったくならない。まさに、曲の力、音楽の力を見せつけられる想いだ。イントロからのハーモニカの音がとてもシンプルに鼓舞してくれるようで心地よい。その他にも重なってくるギターの音もいろいろな種類の音があって、カントリーミュージックのような印象さえあって、おおらかな気分が増してくる。この伊津創汰というシンガー、webサイトにプロフィールが無くて、どんな人なのかよく判らない。Twitterには「歌うたい。と名乗れるだろうか…」と何とも弱気な自己紹介があって、ライブ情報などから新潟にいる人なのかとも思うがそれも確証はなく、これまたTwitterには「森の中に 昔から住んでる」と書いていて、何ともつかみどころがない。まあ今の時代に活動拠点がどうとかいうのはあまり意味もないことで、こうしてネット上に公開されている表現があれば世界中からアクセスできるわけで、それはまるで携帯電話が当たり前の時代に「家電話はどこに設置されているのか」を問うているくらいの意味の無さなのかもしれない。話が逸れたが、その伊津創汰の歌う『はっぴーえんど』。さまざまな不満な状況やストレスフルな状況を綴りながらも、最後にははっぴーえんどが必ず待っているんだと信じて疑わない姿勢がとても良い。信じているとはいえ何の根拠も示していないし、おそらくはっぴーえんどとはどういう状況のことなのかもよく判っていないのではないかとも思われる。だがそれは別に特別にダメなことではなくて、だって、普通の人は1年後の自分の状況を正確に予想することなんてできずにいるはず。だから毎日を不安に包まれて過ごすのか、それとも漠然とした希望を持つことで明るく生きていくのかは、正確な予測を立てることによるのではなく、多少神経が数本抜けているくらいのアバウトさで前を向けるかどうかによるのだと思う。この曲なんてまさにそうで、ちゃんと人生設計をしていきたい人からすれば「アホか」と思われるかもしれないが、根拠なく「きっとハッピーになるはず」と信じて、顔をあげて生きていくという、人生の秘訣を歌ってくれているようにも思える。それを言葉だけで表現したのでは、多くの人はついつい冷静になってしまって不安が頭の片隅をよぎるかもだが、こうしてハッピーを裏打ちしてくれるようなハッピーサウンドが後押しすることで、気分は上がるし、対して何も考えずに歩みを進めていけるような気がする。音楽の力ってすごいなと、改めて実感させられた気分だ。

(2021.5.6) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl