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松本佳奈『Strings』

澄んだ太い声。太いのに、澄んでいる。こういう声の歌手は以前は多かったように思うのだが、最近はあまり耳にしない。あまりのオーソドックスさに歌が原点回帰したかのような新鮮さを感じる。いや、個人的な感想に過ぎないのだが。このオーソドックスな歌声で綴られる世界は、単に嬉しいとか悲しいとか、愛だの恋だのとか、少年少女のピュアな世界のものではなく、一度深い哀しみに触れて世界を見回し、ボロボロになりながらも最後に掌の中に残った幸せや願いを形にしている。その点でも、巡り巡った原点回帰のような気がして、好感が持てる。ゆとりや優しさを失いつつある現代の世相にこういうメッセージはとても貴重だと思う。彼女のキャッチフレーズは"木更津のジャックナイフ"ということでかなりウケたが、楽曲のテイストとは異なり、ご本人はかなり天然で陽気な方みたいで、ツイートなどを見ながら曲を聴いてみるのも面白いのではないだろうか。

(2015.1.15) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二, 松本佳奈

Posted by musipl