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GreenWorld『タイムリミット』
【バンドサウンドへの貢献に徹しているギターのなんという素晴らしさ】

バンドっぽいなあ。バンドサウンドって楽しいよなあ。そういう気分を久しぶりに味わえる感じ。いや、バンドは楽しいしどんなバンドを見ても楽しいんだけれども、なんか最近は「自分たちは○○バンドです」っていうようなアピールばかりが前面に出てる人たちが多いような感じがしていて。他との差別化をしていかないと目立てないし目立てなければ誰にも覚えてもらえずに頭ひとつ出していくのが難しくなるのでそれは別にいいんだけれども、その差別化のための「○○バンドです」に縛られて、サウンドも無理矢理そういうものになっているようなケースが多くて。そういう戦略ありきで後からサウンドがついてくるようなのはもはやバンドサウンドではなくて戦略サウンド。ギータロックとかよく言われて、そういうバンドの音は確かにギターが目立つ仕組みになっているんだけれども、そのぎこちなさが聴いてる側をガッカリさせる。で、このGreenWorld。これね、ギターバンドのサウンドじゃないですよ。ほぼ均等に楽器が鳴っていて、バンドとしてのバランスが良い。ボーカルはとにかくはっちゃけててパワフルで、歌詞に表現されている世相を斬る的な内容についての理解が深いとはまったく思えないんだけれども、勢いでそんな疑問などなぎ倒すようなパワーで、バンドはそれで良いんじゃないかと思う。それなのにこのギター。かなりのテクニシャンで、間奏で見せるラテン系かと錯覚させるメロウな演奏。しかしそこの自分の見せ所が終わったらただちに細かなカッティングに移っていく。この一連の部分だけじゃなくて全体的にサウンドが単調にならずに済んでいるのはこのギターの力量が大きいんだけれど、それをまったく主張せずに1/4の存在としてバンドサウンドに貢献している。こういうのが、バンドだと思えるし、楽しいなあ美しいなあと感じるのだ。自分のテクを自慢しようとすればできるギタリストですよ。すれば布袋みたいなスーパーギタリストアピールできますよ。でもやらない。良いなあこういうの。アピールしていないから、こちらとしてはそこを強調しておきたい。そういうのを意識してこの曲を聴くとまた違った楽しみ方ができるんじゃないかなあ。

(2018.4.12) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl