<!-- グーグルアナリスティック用のタグ -->

ナキシラベ『ao』【自分たちの音楽で勝負するのだという気概が現れているようで】

最初、女性ボーカルかと思った。HPのトップにあるアーチスト写真の中央には女性の姿があって、だから紅一点の女性ボーカルを据えたよくあるメンバー構成だろうなと思ったし、それでこの声。でも、完全に誤解でした。とても良い声。聴く人によって好みはあるだろうけれども、とても良い声。エレキギターやキーボードなどアンプから音を出す楽器は途中のエフェクターなどによって細かく音の調整をするが、それはひとつひとつの音がどうあるのかということが音楽表現においてとても重要だからで、アコースティックの楽器でも良い音を求めてプロは大枚をはたく。バイオリンなどは豪邸が建つほどの値段がするものも少なくない。歌モノの音楽においてボーカルが中心に据わるのは当然のことで、だからボーカリストの声というのはとても重要で、ボイストレーニングによって多少のチューンナップは可能だが、生まれ持って備わっている声帯や喉の形状によって決まる声そのものは容易に替えがきくものではない。だから特徴があって耳に心地良い声を持ったボーカリストというのはとても貴重で、そういう声に出会えたら、バンドメンバーもリスナーもとても幸運なことだと考えた方が良い。HPのプロフィールによれば写真の女性メンバーにもボーカルというクレジットが書いてあって、よく聴けばコーラスのような感じで薄く載っている部分がある。そして黒尽くめの衣装に長髪で顔を隠すようなルックスでビデオに映っている。その女性性を前面に出そうとなどまったくしていない。多くのバンドがお飾りとキャッチー要素のために女性ボーカルをメンバーに迎えていたり、男性オンリーのバンドのMVがメンバーとは関係のないモデル風美女だけが出ている構成になっていたり、そういうものとは完全に違っていて、自分たちの音楽で勝負するのだという気概が現れているようでとても好感持てる。

(2018.4.27) (レビュアー:大島栄二)


ARTIST INFOMATION →


review, 大島栄二

Posted by musipl