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kee『セイグッバイ』【コンプレックスを武器に変えていく過程が見えるような気がする歌】

こういう声をどんな言葉で表現すればいいんだろうか。アニメ声、声優声、スーパーハイトーン、どれも違う気がする。HPでは「SNSで話題の天使の歌声」と書いてあるけれどそれも違うと思う。ピッタリの言葉なんてきっと無くて、どれも「そんな感じだよね〜」という人と「ちょっと違うよね〜」という人がいるのだろう。だったらそんなピッタリの言葉なんて探しても無駄で、ここでは高い声質とだけ触れておきたい。高い声と高い声質とは別のことで、声質は高いんだけれども、この曲は低い音域のメロディもあって、そこで出している声は声質が高くとも高い声ではない。このkeeというシンガーは高い声質でありながら低い音域もきっちりと歌っている。ほうほうと思う。声質が低い重低音シンガーが高い音域のメロディを歌うと高い声になるのに、高い声質のシンガーが低い音域のメロディを歌うと低い声になるのではないのがこの曲を聴くとよくわかる。ほうほうと思う。普通の声の人がアニメキャラっぽい声を意図して出していて、それで歌を歌うと低い音域のメロディではちゃんと低い声になる。隠せないのだ、作っている声は。同時に作っていない声も隠すことはできないし隠す必要はないし。だからこのkeeという人が歌を歌う時に、この声は武器にもなるのだけれども、本人にとってはコンプレックスでもあっただろうなと想像する。「良い声だね」と言ってくれる人が多い一方で「ヘンな声だ」と揶揄する人もゼロではなかったはずで。様々な評価にさらされてくる中でコンプレックスを武器に変えていく過程が見えるような気がして、この曲を聴くとこちらまで力強くなれるような気がしてくる。

(2018.12.20) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl