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スロロリス『hurdie gurdie.』【難しいジャンルのことは一旦忘れて、まあ聴きなさい】

美しい曲。彼らのHPには「ポストロック、シューゲイザー等を中心に」と書いてあって、それ自体は別に珍しいことではないのだけれど、そういう表現を見るたびに、そのジャンルは一体どういう音楽のことなのだと考えてしまう。一般的にはポストロックというとそれまでのロックには無い特徴のある音楽ということらしいのだが、ポストロックの先駆者といわれるThe Velvet Undergroundは1960年代、PILが1970年代ということで、2010年代後半の今からすればどちらも伝説というか歴史の一部で、たしかにプレスリーやチャックベリーの音楽とは違うだろうけれど、The Velvet UndergroundやPILを「それまでのロックとは違う」という境界線の現在に近い側だといわれてもどうにも納得できない。そんなことになったら、このスロロリスだって1970年代の音楽から進化していないみたいなカテゴライズになるわけで、そりゃやっぱ違うやろと納得できないのである。

自分で持っていたり友人に貸してもらえるレコードやCDだけが聴ける音楽だった時代ならともかく、ストリーミング配信で聴き放題の時代になって、今のミュージシャンの戦うべきライバルは、同時代に同じステージに立ち得るバンドたちだけではなくて、とっくに解散してたり既に全員メンバー死んでるようなバンドだったりする。その戦いはけっこうタフだよなと思うけれどもそういう時代だから仕方がない。ジャンル分けが他との差別化のために必要なのは言うまでもないことなのだが、しかし、その差別化をしようとするあまりにもはや何のことだか判らないジャンル名が無数にある現代に於いて、僕はもうそういうのの必要性は逆に薄れてきているのではないのだろうかと思っている。だから、彼らのHPの「ポストロック、シューゲイザー等を中心に」の後にある「心地よいメロディ感をとりいれたサウンド」という言葉だけでいいのではないかとさえ感じる。だってそうでしょう、心地良いメロディと言われれば聴いてみたくもなるのだし。そして聴いてみればこの曲の美しさ、心地良さはわかるのだし。

(2018.6.8) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl