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Drop’s『アイラブユー』【自分の意思と希望で音楽に向かいあっている人の表情】

Drop’s、久しぶりに見たぞ。5年以上前に『かもめのBaby』という曲で松浦氏がレビューしてて、すこしばかりハスキーなボーカルでレトロな曲を演奏していた。正直ピンとこなかった。全員が揃いの革ジャンを着てて、そういうキャラクター設定のバンドなんだろうと思った。誰かの後押しを受けて大ブレイクするか、さもなければ数年で解散か、どちらかだろうと思っていた。それから5年以上経って、彼女たちのMVに遭遇した。ああ、落ち着いたテイストだ。かもめのBaby以降もしばらくは革ジャンのスタイルを続けていて、動画としては2年ほどのブランクを経てLINE LIVEのスタジオセッションで登場した時には革ジャン姿ではなくなっていた。いろいろとあったのだろう。メンバー自身はもちろんスタッフを含めた葛藤。それでも辞めることなく活動を続ける。素敵なことだ。このMVで中野ミホは何かを諦めたかのような達観した表情で淡々と歌っている。これが5年間の年齢の重ね方なのかなあとも思う。いや、単なる曲調の違いだけなのかもしれないけれど。

つい先日3年ぶりのフルアルバムをリリースしたらしい。そういうこともあってMVを公開したのだろう。そして、リリース日にもう1本MVを公開してて、『Tシャツと涙』で見せる彼女たちの表情のナチュラルなこと。ナチュラルに見せる中野の笑顔。そういうの、とてもイイ。誰かの戦略にのせられて勢いで音楽をやってる人たちじゃなく、自分の意思と希望で音楽に向かいあっている人の表情だ。とてもイイ。音楽は純粋に音を楽しめば良い。そりゃそうだ。しかし奏でているのも創造するのも人間なのであって、その人間の生き様とか、心模様とか、そういうのも聴く上で重要な要素だとついつい考えてしまう。特にロックはそうだし、そうであるべきだと考えてしまう。もちろん歌っている姿として表に現れている部分にすべてがあるわけではないなんてことも解ってはいるんだけれども。そういう観点でこのMVを見てしまうと、彼女たちの音楽を、そして音楽活動をもっと注目したいなと思わずにはいられなくなる。

(2019.10.7) (レビュアー:大島栄二)


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Posted by musipl