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ザ・ジュアンズ『シャラララン』
【大丈夫、大丈夫って、自分に言い聞かせるんだ】

なんかめっちゃポジティブ。「無敵の気分さ 持ち物はいらないや 行けるとこまで行ってみようよ」って歌詞がステキ。そういう歌詞を作って歌っても、メロディとか歌唱とかのどこかに秘めた躊躇みたいなものが滲んでくることも多くて、いや、ほとんどの場合がそうで、だってそうでしょう、誰だって怖いんだ。何かに突き進んでいく時って、誰だって怖い。何が起こるかわからない。だから怖い。なのにザ・ジュアンズのこの曲は突き抜けたポップネスというか、本当に何も考えてないですよ的な明るさがあって、聴いてるこっちまで元気になれそうな気になってくるからスゴい。何も考えてないですよ的なっていう表現はもしかすると彼らのことを小馬鹿にしているように思われるかもしれないけれど、そうではありません。ちょっとでも考えると誰だって怖いのだから、その怖さが出てくるのは当然で、だから考えてないフリをする。考えてないフリをするというのはとても難しいことだ。アホを演じる。いや、アホになりきる。完全になりきるのはとても難しいことで、その難しいことをやりきるから、何も考えて無いように映る。とても高等テクニックだ。ほら、歌詞の中でもそう歌っているよ。

□  「大丈夫、大丈夫」って自分に
□  言い聞かせるんだ

無敵の気分で行けるところまで行こう。そんな簡単なことができないのはその自分に言い聞かせることが何よりも難しく、怖れに負けてしまうからだ。大人になれば何かを持ってしまって、だから冒険に躊躇するようになる。というか、ほとんどの場合できなくなる。そういう立場から見れば若者はいいなと思うこともある。だが、若者だって既に何かを持っているのだ。だから怖いのだ。それでもまだ持ってないものも多いから、それを獲得するために、既に持っているちっぽけなものを捨て去る勇気が必要になる。何も考えてない底抜けハッピーポジティブソングのようで、怖れを抱く若者への応援歌として、この曲はズシズシと響いてくる。

歌詞の中に「若気の至りかな」というフレーズがある。若気の至りという言葉で次のステップが踏み出せるのならそのままで十分だが、前に踏み出せるというのは若者の特権なのだろう。何度か失敗してもまたゼロからやりなおすだけの時間を幾分多めにもっているという、若者の特権だ。

(2020.1.31) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl