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EOW『ON』【誰なんだこれは何でオレは知らずにいるんだと焦らせる逸材】

誰だろうこれって、普通に思う。いや、普通はまた新しい若けえのが出てきたなだ。誰だろうって思うのは、全然これ知らなかったけれどみんな知ってるんだよね、知らないのはオレだけだよね、誰なんだこれは何でオレは知らずにいるんだ、という時の話。そう、これを聴いて「知らないのはオレだけで、どういうわけだか情報に遅れてしまっている」という焦りを感じたのだった。

以前のようにメジャーのヤツだけチェックして、それ以外はどうせメジャーの仕組み無しに大きくなんてなっていかないのだからメジャーから声がかかった時点でチェックすればいいや、みたいなことは現代では通用しない。メジャーなんて無関係にいいヤツは大きくなっていく。だからインディーの音源もちゃんとチェックしないといけないし、そうはいっても範囲が膨大でアーチストも数限りなくいるので、凄いアーチストであっても収集してた情報から漏れることはよくある。だから知らない凄いヤツがいたってそんなに不思議じゃない。だけど、このくらい完成してる存在のことを知らないというのは、やはり悔しいじゃないか。HPを見るかぎり、活動は2017年からだけど、EOWと名乗り始めたのは2019年2月から。つまりまだ1年。そうか、知らなくてもまだ大丈夫。大丈夫だ。

この洗練されたサウンドに乗っかるLacoさんのボーカルがどこか艶やかで心地良い。個人的には野宮真紀とか土岐麻子を彷彿とさせる感じ。声質は全然違うけれど、音楽の雰囲気が近いのだろうか、都会的な音楽という印象で心地良い。声には演歌だったらこぶしのようになりそうな粘り気があって、情念とかいうものを歌うには持ってこいのシンガーだと思う。だが、そういうテイストにはなっていない。これはサウンド全体が持っている爽やかさと疾走感によるのだろう。疾走感といってもビート競争みたいな単純にテンポが速いみたいなことではなくて、個々の楽器が持っているリズム感の妙が組み合わさって、軽快な流れを生み出している故なのだろう。まだ無名なのか、それともある程度有名になってしまっているのだろうか。その辺の状況はよくわからないけれど、あと1年経過したら今とはまったく違うステージに立ってしまっているかもしれない逸材の可能性をはらんでいる。

(2020.2.13) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl