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634noHz『知らない』【バンドとして、最初のひと周りを超えた印象のナイスサウンド】

凡庸な声と凡庸ではない声。いろいろな声があって当然だが、凡庸ではない声は凡庸では無いが故にボーカルなどに抜擢されたり、自らそれを志したり。しかし凡庸ではない声が選ばれるようにボーカルになっていくと、結果的にボーカル世界で凡庸ではない声であることが逆に凡庸に見られることになってしまって、だから、その中で特徴を打ち出して抜きん出ていくということはなかなか熾烈なことになってしまう。634noHz(ムサシノヘルツと読みます)もきっとそういう中のバンドのひとつなのだろう。以前のMVを見ると仲良しなメンバーがまずは自分たちが楽しいということを一番の目的として活動しているというテイストが滲み出ていた。その後比較的ハードな楽曲や演奏を見せていて、この凡庸ではない声を前面に出す訳ではなく、むしろそれ以外のところで自分たちの武器を持とうとしているような印象さえあった。そして昨年末にこのMVを公開。仲間内の楽しさでもなく、必死さでもなく、前面にこのボーカルの良さを惜しみなく持ってきて、それでいながらそれぞれの楽器の音が明瞭に聴こえている。バンドとして音作りの姿勢がひと周りした感じがとても心地良い。彼らが大成功を収めるにはまだ数周回っていかなければならないだろうけれども、その最初のひと周りが出来ずに終わるバンドがほとんどだということを考えれば、彼らの未来は明るいはずだ。

(※2020年4月14日時点で動画が削除されているのを確認しました。レビュー文面のみ残しておきます。)

(2018.1.26) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl