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RIOT JUNCTION『約束』
【偏見に負けずに頑張ってバンドマン!】

恐怖は人を狂わせるのか、それとも恐怖は人間の心の底を表に出してしまうのか。それは東日本大震災の時に思ったことだが、昨今の新型コロナウィルス騒動でも同じことを思わされている。つい先日、Twitterで見た投稿。「楽器屋に行った。店を出た瞬間にオバサン2人組に、ちょっとこんなとこ通らないでよ!と。は?と思ってたら、音楽やってるでしょう?!音楽なんてしてたらどんどんコロナがうつる!!辞めなさい!近寄らないで!と。」

投稿していたのは大阪でバンドをやっている人。直前に大阪のライブハウスから感染が広がったというニュースが毎日のように報じられていた。そういうのに敏感になったのだろうか。敏感というよりも過敏、もちろんどこからが過敏なのかの基準もないが、明らかに誤解に基づく差別が発生している。この投稿をした人は連続する投稿の中で「世間がそういう目で見てくるなら私はもうバイ菌なんだろう。本当に悲しい。生きづらい。」と続けている。

ウィルスに感染した人は自らの意志で感染したわけではない。普通に生活をしている中でたまたま感染しただけなのだ。人によって生活の様態がちがっているだけで、ある人はクルーズ船で旅をしてて、ある人は仕事で海外出張に行ってて、ある人は病院で仕事をしてて、ある人はライブを観に行ってて。それぞれが違っていていも、それぞれの普通の生活をしている中で運悪く感染をした。それだけのことなのに、感染した人が普通の生活をしていることに対して非難をする。その人自体は感染していないのに、感染した人と同じ種類の生活をしている人をまとめて非難する。非難というよりむしろ罵倒。ひどい、酷すぎる。多くのバンドマンは同じような肩身の狭さを味わっているのではないか。ただでさえ生活そのものである音楽活動を中止中止、自粛自粛で辛い思いをしている立場なのに、さらに根拠のない差別意識を向けられるのは本当に可哀想だ。

かつてハンセン病を予防する目的でらい予防法という法律が制定され、ハンセン病の患者は隔離収容された。その後治療法も確立されたにもかかわらず法律の廃止改正がなされず、差別的な扱いが長年にわたって続けられてしまった。違憲国家賠償訴訟がおこなわれた結果是正され、賠償がおこなわれた。そのことで多くの人たちは誤解に基づく差別というものがどうやって起こるのか、そしてそのことでどのような被害者が苦しむことになるのかということを学んだと思っていた。しかし今回の新型コロナウィルスに関する騒動を見ていると、学んだ人は少ないのだなと感じる。いわれのない差別は、被害は、これからも起こるのだろう。

大阪でオバサン2人の罵倒を受けたメンバーが所属しているのがRIOT JUNCTION。連続する投稿を、めげずに頑張っていく旨の内容で締めていた。頑張って欲しい。もちろん彼らだけじゃなく、日本中の、世界中のミュージシャンと音楽ファンには頑張ってもらいたい。ウィルスにも心無い人の偏見などに負けずに。この曲も「終わりたくはないよ、終わりたくはないよ〜終わらせはしないよ」と歌っている。バンド活動はさまざまな苦難に満ちあふれている。なにもウィルスだけの話じゃない。そういったすべての困難にめげずに、頑張っていってもらえればと心から願う。

(2020.3.9) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl