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さんかくとバツ『街灯』【このギターサウンドはさんかくでもバツでもなく、二重丸、いや、ハナマルだ】

良いギターの音を聴いていると、やっぱりロックはギターだよなあと思わずにいられない。ロックもどんどんと良いバンドが出てきて、ちょっとの違いと差別化して目立ちたいという狙いとで、様々なタイプのロックが登場してきた。いや、いいんですよ。ピアノロックにバイオリンロック。新しいよ、新鮮な響きだよ。でも、しかし、エレキギターが生み出す独特の空気感。それまでの音楽(っていつの話やねん)に無かったテイストを加えただけじゃなく、そのサウンド自体が主役になるという存在感。それはライブに行けばすぐにわかる話で、リズム隊がステージの真ん中から後方に位置して動かないのに対し、ギタリストだけは常に前に前にとせり出してくるし、なんならボーカルよりも目立っちゃえというギタリストもいる。たくさんいる。というか、そういうギタリストばかりだよ。もちろんそのギタリストが奏でる音に魅力がなければそういう前へ前へという行為がウザく感じられるだけなのだが、時として、おおおおお、いいぞいいぞギターもっと前に出てこいよ、と言いたくなるくらいにステキなギターサウンドはたまにいる。ベースにそんなんあるか。ドラムは動けないし。ピアノロックの人だってピアノで前には来られないし、バイオリンロックの人もソロパートでボーカルに絡んでくることはあっても、終始バンドパフォーマンスの中心にい続けることはできない。そういうことを考えると、ジャンルとして様々なロックはあるけれども、王道はギターロックだよなあと思う。

大阪を中心に活動するこのさんかくとバツというバンドの曲を耳にして、真っ先に思ったのはこのイントロのギターはいいよなあということだった。なにか前例のないような凄技があるわけではない。聴いたことのない音色を実現しているということでもない。すでに聴いたことのある様々な要素が組み合わさってこの音と演奏が成立しているだけなのに、成立したこのギターサウンドはイントロだけでぐっと心をつかむ何かを持っている。そして曲を全部聴く間中、常にそのギターの音色を追いかけさせてしまう魅力がある。それは例えば街を歩いている時にふとすれ違った美しい無名の人に心奪われてしばらく眺めてしまうような、多分どこにでもいるような普通の魅力のはずなのに、なぜだが惹き付けられてしまうみたいな、そんな魅力だと思う。このギターサウンドは、さんかくでもバツでもなく、二重丸だ。いや、ハナマルだ。

(2020.3.23) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl