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motorpool『Cloudy』【日常の中に時たま偶然に現れる一瞬の輝きのような時間を音で再現してくれるようなポップミュージック】

イントロから爽やか。ただ鍵盤だけのイントロというのはよくあって、そういうのが爽やかなのもよくあるけれど、この曲は最初っから鍵盤だけというのではない。鍵盤だけで爽やかなイントロの曲は他の音が混ざってきた時に「もう、鍵盤だけで進んでくれよ」と少しばかり不快になることも多いんだけれど、爽やかなイントロであれば余計にそう思うんだけれど、この曲の鍵盤オンリーじゃないイントロだから、そんな風に思うことがない。最初っから鍵盤だけじゃなくて爽やかなのだから当たり前だ。しかもその爽やかなイントロに頼って長々と引き延ばすこと無く、たったの7秒で歌が始まる。イントロに浸る余韻など与えられることなく歌に入っていく。いい。イイよ。そのギターフレーズの繰り返しに何か意味があるのかと文句言いたくなるくらいに長いイントロの曲は多くて、30秒以内に歌が始まってくれればいい方で、そんな中、この曲の歌の始まりの早さは良い。しかもイントロがめっちゃ爽やかなのだから「もうちょっとこの爽やかイントロ聴いていたいよ」という気分が残る。このテンポの良さはポップミュージックに不可欠だと再認識させられる。ポップミュージックは、日常の中に時たま偶然に現れる一瞬の輝きのような時間を音で再現してくれるようなもので、「あれっ?」と思った時にはもう終わってる。だから「これですよ、これですよ、これを聴いてくださいよ」と提示してくるものはポップじゃない。そういう意味で、西川真琴のメインボーカルの後ろで重ねられる山崎あおいのコーラスが、めっちゃ小さくて、そこそこのボリュームで鳴らしても「あれっ、何か聴こえた?」程度の存在感で、とても良い。彼女の声がそこそこの存在感で聴こえてきてもそれはそれできっと心地良いだろうと思うけれど、このそこはかとなく、主張などまったくせずにただ在るというのが、ポップな気分をさらに掻き立ててくれるようでステキだ。

(2020.6.11) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二, 山崎あおい

Posted by musipl