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オールタイムベストソングス(夜鍋太郎 編)

先日公開された、大島編集長のオールタイムベストソングスの記事に触発されて、今回は私が発表させてもらう運びとなった。

私、夜鍋太郎のレビュアー紹介には「洋楽(主にUKとインディーズ系)をミーハー的に好む」とある。これはレビューを書かせてもらうようになった約5年半前から固定されたままだ。ここ最近はレビューで扱うアーティストも様々で、まさに時代の変化と共に私の志向や趣味、そしてアンテナの向きも変わってきている。

だが、オールタイムベスト、となると、この紹介文に沿ったラインナップになるのではないか、とそんな予感がしている。

とりあえず、思いつくままに「洋楽」の10曲を並べてみたい。


The Stone Roses「Elephant Stone」

まばゆいほどのきらめきを放つポップさ。幻想的で甘美なギターの音色。さらには唯一無二のグルーヴ感。このサウンドは気持ちいい。完璧。最強。私の理想とするギターポップの究極形態と言える。オールタイムベストで真っ先に挙げるのは、この曲以外にないだろう。最高! これぞ、マイ・ベスト1!

まずは音源でノックアウトされ、そして生の(ライブバージョンの)イアンの歌声にずっこけ、それもまた愛するようになる過程も込みで、とてもとてもいとおしい。

(公式ではMVがなくてライブ映像なので、グルーヴ感増し増し、キラキラ感やや控えめ。イアンの最高にかっこいいヘロヘロ感てんこ盛り、っぷりも含めてお楽しみいただきたい)


Ash「A Life Less Ordinary」

ロマンティックなギターのイントロから、華やかなティムの歌い出しから、爆発的なまでにメロディアックな展開を見せる間奏から何から、まさに夢のような曲だ。とにかく最高。私はこの曲を聴くためにAshのライブに赴いている! と極論めいたことを言ってもいいかもしれない。それほどまでに愛してやまない。リリース当時はギターのシャーロットが在籍していて、(バンドとしての)バランスが特によかったころ、ということもまた印象深い。
トータルで考えれば、これまでに私が一瞬で虜になった曲を最も作ったのはティムだ。彼のポップなメロディセンスに外れはない。すべてがストライク。

そんなAshの名曲の中で、あるいはこの世にある数々の曲の中でも、これが一番ロマンティックなのではないか、と思う。最高。


Fountains of Wayne「Denise」

先日、メンバーのアダムが新型コロナ肺炎で亡くなってしまい、その悲しみはまだまだ癒えていない。

ただ、その重すぎる現実とは関係なく、私のオールタイムベストにこの曲は欠かせない。つくづく、アダム(と相棒のクリス)は3分間の「切なく甘い」、マジカルなポップミュージックを生み出す職人であり、まさに魔法使いだった。

イントロから象徴的に響くギターのひりひりする音、マイナー調だけどポップなメロディ。ぐっとくるコーラスワーク。特徴となる要素を挙げるだけで、泣きたくなるくらいどきどきしてしまう。最高。基本、このような曲調で、女性の名前がついたタイトルなんて、名曲に決まっている。いや、ほかに例を挙げろと言われても困るけど。


Farrah「Tongue Tied」

もうイントロのリフだけで、わくわくする感じは、はじめて耳にした瞬間から、今も尚、変わらない。どこか「かわいげ」もある若々しさあふれる曲調も、私のかつての「青き心」をくすぐる。最高。スカ風のカッティングだってたまらない。私は、つくづく、パワーポップの甘酸っぱい曲が好きらしい。

今回、この記事を書くべく、改めて彼らのバイオグラフィーを調べてみたのだが、イギリスのバンドだった。なんとなく、アメリカのバンドというイメージがあったので意外だった。そんな彼らの新譜が出る知らせも噂も、しばらく届いていない。だが、またこんなポップど真ん中の名曲を届けてほしい。

(MVでは、なぜか日本のライブ映像が使われている)


Supergrass「Caught by Fuzz」

ギャズこそUKロックの至宝。これは私的には決して揺らがない事実である。

この曲と出会って、どっぷりとギャズの魅力(ソロの曲も大好きだ)、Supergrassの魅力にはまってしまった。とにかくファーストアルバムが最高! これだけすばらしいデビューアルバムがかつてあっただろうか。まさに、オールタイムで、いつ、どんなときでも延々聴いていられる。

そしてこの曲、警察に捕まっちゃってママに迎えに来てもらったよ、っていうギャズ自身の体験を歌っているような内容なのだが(超訳)、愛すべき彼らの魅力が詰まっていて、そのやんちゃぶりから、若さゆえの輝きから何から、エネルギーが爆発している。この疾走感も最高だ。

一瞬にして、ギャズたち、そしてSupergrassの曲に、恋に落ちずにはいられない。


blink-182「First Date」

ブリンク大好き。最高。
曲調や彼らの(特に若いころの)見た目、そしてパフォーマンスはただただ能天気で、からっとしていて、バカっぽい(もちろんいい意味で)。突き抜けている。それなのに、歌詞がうじうじしているところがいい。おバカだからこそ、ときどきにじみ出るシリアスさに、よりぐっときてしまう。

この曲も、文字通り、最初のデートで「俺の髪型、バカっぽいかな(気に入ってくれるかな)」って気にしているところに、きゅーん、ってくる。最高。なんだか、青春のときの、想いの強さとそれがままならないもどかしさで、ぐいぐい高まっていく感情(恋心)が、軽やかなパンクというスタイルによって相乗的に盛り上がる。ああ、この曲がたまらなく好きだ。


The Strokes「Hard to Explain」

私にとってのThe Strokesは、断然、1stだ。よくある問いだが、無人島に一枚だけもっていくなら(このストリーミング時代に、いよいよ野暮な質問のきらいがあるが)、彼らの1stにすると思う(そうでなければ、The Stone Rosesの1stのアメリカ盤か、Supergrassの1st、と今回扱ったアーティストのデビューアルバムか、反則気味にAshのベストアルバムにするんじゃないだろうか)。

そんな強い1st愛の中、最も好きな曲がこれだ。最高。こんなシンプルな音なのにどうしてこれほどまでにかっこいいんだろうか。未だにわけもわからず、泣きそうになる。
曲が始まった瞬間から、空気が変わる。私自身のモードが変わる。「最高の音が、今、この瞬間に鳴っている」感ときたら! ただただ、かっこいい。ジュリアンの影のある歌声もすてきすぎる。


Prince「I Would Die 4 U」

今回、こうして思いつくまま、オールタイムベストを挙げていく中、突然のプリンス。そして、なぜか、この曲。

でも、たまらない。数あるプリンスの名曲の中で、圧倒的にこれが大好きだ。未だに少しも古くならないのがすごい。まさに才能の塊。本物の天才。ファンクなのはもちろんなんだけれど、そこにプリンス節というか、きらめきと切なさも加わっている。そして宙に浮いたままでぶっ飛ぶような、このスピード感。まじで最高。
公式だとライブ映像しか残っていないので、原曲よりも、ぐいぐいとファンキーっぽく、イケイケっぷりを発揮するプリンス様をご覧いただきたい。ライブでのパフォーマンスもまさに異次元!


The Clash「Complete Control」

世代的にも一周も二周も遅れてきた私にとって、70年代パンクはどれも皆、新鮮だった。そして圧倒されるくらいに、かっこよかった。彼らの姿も、曲も、何より「アティチュード」がスタイリッシュにすら見えた。中でもThe Clashはまるで古びない、最高のバンドだ。そしてジョー・ストラマーのカリスマ性が半端ない。

史上最高にかっこいいギターのイントロから、ジョーが放つ、「They Said」という第一声まで、完璧だと思っている。もちろん、そのあとの展開も、終始、両腕を挙げずにはいられないのだが、このリフが鳴って曲が始まってからの12秒前後の間は特に、何度聴いても、鳥肌が立つくらい興奮する。

(MVだとイントロが鳴り始めるまで長いが、その辺は考慮して読んでいただきたい)。


Unknown Mortal Orchestra「Swim and Sleep(Like a Shark)」

どんどん切なくなっていくような、マイナー調のメロディが悲しく、切なく、だからこそうつくしくて大好きだ。いつか、どこかで抱いた、かつての寂寥感を呼び起こされるような、曲調のやさしいタッチがとてもいとおしい。

今回のリストの中では新しいほうの曲だと思うが、はじめて聴いたときに、ゆっくりと解きほぐすように感情が揺り動かされた感触は、今でも鮮やかによみがえってくる。最初から最後まで繊細にくり返される、ギターの音色がやばい。たまらない。インディーロックの雄による珠玉の曲。

音楽はときに悲しみやさみしささえも、ある種の快感へと変えてくれる。私は一生、この曲を聴きながら、心のひだに触れられたような感情、そのさみしささえも愛していくだろう。最高。


Billie Eilish「bad guy」

あと何年かは経たないと、オールタイムベスト、と言えるかどうかはわからないのだけれど、どうしても入れておきたい。

日本の多くのリスナーにも膾炙している、今の時代の圧倒的なまでのアンセム。それは、私的にも同様だ。ただ、自分が十代のときにこそ出会いたかったな、と心から思う。思春期真っただ中のころに、この衝撃に、射貫かれたかった。

まあ、何が言いたいかと言うと、最高。最高にクールでかっこいい。なんでこんな低音ぶりぶりでダークな曲調が世界を席巻しているのか、本当に不思議だ。いや、もちろん、ちゃんとポップなのだ、ぶりぶりのところも、すごく聴きやすい。最先端にアップデートされた音楽的センスが(兄のフィニアスも含めて)すごい。そして何よりも、彼女の存在感も圧倒的だ。このMVも何度見ても飽きない、大好き。


以上が、現段階のマイ・オールタイムベストだ。10曲のつもりが、気づけば11曲になってしまった。

本当は12曲まで書いてから、書きすぎたかも、と気づき、減らした。というか、それ以前に、あれもこれも、と浮かんでくる(主張してくる)曲を抑えるのにも一苦労だった。しかも1曲ごとのコメントが、現在のバージョンと比べても優に3倍以上は長かった。それを削ったり、なぜか書き足してしまってそれをまた削ったり、削ったり、削ったり。で、ようやく、このような形になった。

それにしても、ポップさはもちろん、そこに付随する切なさや甘さ、という要素をいかに好きなのか、改めて気づかされた。

削る前のバージョンや、今回入れられなかった曲も、いつか別の機会で紹介出来れば、と思う。また、洋楽レビュー担当なので、洋楽から選ぶことになったが、むしろ邦楽のほうが、より若い時期のころに好きだったため、それぞれの思い入れが強いかもしれない。そちらもまた機会があれば。

また、こういう特集だと、どうも文章がいつも以上に荒れていることも否めない。最高! 大好き! かっこいい! やばい、たまらない、などと連呼するばかりで、お見苦しいところも多々あったと思うが、それも熱い情熱と愛情ゆえ、とご理解いただきたい旨を最後に記し、これにて了。

article, 夜鍋太郎

Posted by musipl