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blue but white『miss you』【もしたった1曲で姿を消したとしてもこの曲が残るなら】

とにかく失敗の連続で、できることならなかったことにしたいことばかりで人生はできている。だけどいちど起きたことはなかったことになどなる訳も無く、なかったことにしたいような出来事への評価ばかりで、誰かから見た僕の評価もできてしまっている。そういう失敗も失敗を目指して悪意で突き進んだ訳じゃなくて、抗いがたい出来事の積み重ねが自分の意思に反してそこに追い込んでいっただけのことで、だから納得できないんだけれども、納得できないことばかりだったんだけれど、じゃあそれを言ったところでなかったことになるのかというとそういうことではなくて。

それでもわずかばかりの人が、なかったことにしたいことばかりで今に至る自分のそばにいて。特別な喜びに満ちている訳でもないけれど、特別な不幸に怯えることもなく日々が続いている。そういうのを、僥倖というんじゃないだろうか。

miku sawaiという人の歌声がとても切なく響いてくる。シンプルな言葉を、男性ボーカルを薄く重ねることでとても立体的に押し出している。沢井美空として歌っていたかつての声とは全然違う印象を生み出している。このblue but whiteというユニットがどういうものなのかはまだ謎が多い印象なんだけど、背景とか将来に向けての戦略とか、そんなことを考えずにただこの曲だけを聴いて、良かったと思える。表現者の継続性というものを大切に感じる方だが、それでも、もしたった1曲で姿を消したとしてもこの曲が残るならそれはそれで良いんじゃないか、という曲はあるんだとも感じるのだ。

(2017.9.8) (レビュアー:大島栄二)


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blue but white, review, 大島栄二

Posted by musipl