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メロウ・イエロー・バナナムーン『胸の裏』
【耳について離れない、女性ボーカルが歌う「ベイビー」】

多くの曲で「ベイビー」という言葉が使われる。その多くは男性が女性のことを指して声をかけるもので、そうでなければ本当に小さな赤ん坊に向かって使われる用語だ。だが、この曲では女性ボーカルが「ベイビー」を多用する、繰り返す。とても新鮮で心地良い。歌詞を眺めているとわかるが、この歌は男の側からのストーリーとも、女の側からのストーリーとも読むことができる内容で、だからたまたま女性ボーカルのバンドが歌っているだけであって、男性ボーカルが歌ってもちゃんと成立する性格を持っている。では、男性ボーカルが歌っていたら、今回僕が感じた何かのようなものを感じることができたのだろうか。こういうミドルテンポのバラードとまではいえないムードの曲を、元FLYING KIDSの浜崎貴司が歌ってみたところを脳内で想像してみる。うん、これはイイぞ。きっとグッとくる楽曲として完璧に成立する。だが、それは浜崎貴司のレパートリーの1曲として成立するだけのことで、このバンドのボーカル緒方利菜が歌っているバージョンとはまったく違うだろう。それほどに、この女性ボーカルが「ベイビー」の繰り返しが持つインパクトが耳を撃つ。そのインパクトを、トランペットとトロンボーンによるホーンセクションの夕暮れのような分厚いサウンドが包み込んでいて、とても心地良い。それにしてもこのバンド、HPを見ると「早稲田大学生が注目する「11人組」アーティスト」と書いてある下にメンバーの名前が10人書いてあって、その上にあるアーチスト写真にも10人の姿。そしてこのMVには7人が登場していて、本当は何人バンドなのだろうかという興味も湧いてくる。いやまあそれは本質とはあまり関係ないことなのかもしれないけれども。

(2017.11.17) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl