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the cibo『ウィークエンド』【週末なのに冒頭からありえないようなハイテンションの意味は】

めっちゃ熱い。曲に起承転結なんかなく、いきなりトップテンション。序破急でもなくて、急急急。こういう展開だと聴いていて疲れるのではないかと頭では考えるものの、そんなことがなくて普通に聴ける。普通に聴けるという言い方はちょっとおかしくて、心地良く聴ける。ただ最初から「心地良く聴ける」と言い切ってしまうときっと誤解を与えるし、文句言われそうなので、やはり「普通に聴ける」がbestではないにしてもbetterなのではないだろうか。曲のタイトルも『ウィークエンド』で、ウィークエンドにはのんびりとくつろいでいたいと思うのは僕だけなのだろうか、この熱量溢れる曲を聴いてリビングでゴロゴロというのはちょっと違うなという気がしないではないのだが、休日こそ朝から元気MAXで活動しなきゃという場合にはピッタリなのかもしれない。

MVでは女性が目覚めてこちらを振り向くところから始まる。その女性とボーカルが触れあうところでお互いが半透明になり、触れあうことができない。その後女性は終始半透明で過ごし、踊る。歌詞は彼女が亡くなったことを暗示している。失ったものばかり数えた日もあったと歌う。その哀しみからどう立ち直り前向きに生きていくのかを、断片的に表現している。表現が断片的だから想像もぼんやりとしたものにならざるを得ないが、愛する者の死に際して、悲嘆にくれる日々を永遠に続けることも難しく、人はそれを忘れるか、記憶を浄化して共に生きるかということになる。記憶を浄化するというのは言葉では簡単そうだが実際には難しく、そのためには特別なパワーを必要とする。そう考えると、この曲のイントロから全開の展開も少しだけ納得がいくのだ。ただ単に休日だからくつろぎたいぜというのではなく。全力のポジティブさを身体の内側から意図的に絞り出していくことで哀しみを乗り越えるという、そういう全開ぶり。イイと思う。

(2018.6.22) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl