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神楽ファミリア『劣等』【こういうのを聴き逃しているのはもったいなくて、愚かしくて】

キレのある音楽を聴くのはとても心地がいい。たとえその音楽が表現しようとしている世界観がダークでネガティブなものだとしてもだ。だから当たり前のように、ポジティブでポップで誰かの背中を押してくれようとするような音楽であってもキレのない音楽を聴くのは心地悪いものだ。神楽ファミリアという名のバンドが『劣等』という曲を奏でている。何が嬉しくて正月早々に劣等なんていう曲を聴かなきゃいかんのだ。新しい年に自分がどう良い未来を切り拓いて行こうかなんて考えている時に劣等ってネガティブ。だが、心地良い。表面的なネガティブに惑わされるのがもったいないくらいに心地良い。ホームページさえ持たず、CDだって売ってなくて、だからバンドのことをことさらに紹介しようという意思も感じられず。しかし「ピアノロックバンド」と銘打ったどんなバンドよりもピアノのフレーズが効果的で、「ギターロックバンド」と銘打ったどんなバンドよりもギターの響きがカッコよくて、「男女混声ツインボーカル」と銘打ったどんなバンドよりも2人の声のバランスとメリハリが絶妙で、それぞれが単独でボーカルやったってほとんどのバンドに勝っちゃうんじゃないと言いたくなるくらい声が立ってて。おまけにそれらがぶつかること無く存在してて成立してて。こういうのを劣等なんて言葉で隠してしまってはもったいないし、聴き逃しているのは愚かしくて。やっぱレビューしなきゃねと思った次第です。どこか指摘しなければオマエ殺されるぞと脅されれば、最後の方の「濁らせてしまうくらい」という歌詞が若干文字数多いかなという程度で、それはもうほとんど非の打ち所がない出来映えということですよまったく。インディーズで楽しくやっているであろう彼らが、もしも仮にメジャーに行くことになったら、プロフェッショナルな人たちがよってたかってブラッシュアップしていくと思うし、その余地がまったく無いわけではなく、ところどころいじればちょっとずつ聴きやすくなったりはすると思うのですが、そういう時にプロフェッショナルな人たちの圧力に押されて自分たちを見失ってしまうよりは、今のままのバランスで最高なんだということをちゃんと自覚して、もし仮に次のステージに行くことがあるのなら、頑張っていってもらいたいと遠くから願ったりするばかりです。

(2019.1.11) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl