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Lana『それだけで』【カッコいい音を100%追求している方がリスナーにとっては重要なことなのでは】

シンプルでカッコいい。ロックバンドの初期衝動に特に理由なんて要らなくて、シンプルに音を掻き鳴らして、それがカッコよければそれだけでOKのはずで。でもそれだけだと見知らぬ誰かに音を聴いてもらうというところまでなかなか到達しないものだから、やれ他のバンドとは違う売りを身につけろとか、自分たちだけの特徴を打ち出せとか、周囲はもちろん言うし、メンバー自身もそういうものかと考え始める。その結果、カッコいい音を鳴らそうぜというところに100%向いていたはずの情熱がちょっとずつ戦略の方に割かれるようになり、カッコいい音を鳴らすことから離れていってしまう。そういうことはよくあることだ。

Lanaというバンドには「カッコいいなあ」という感想が真っ先に来て、じゃあどうカッコいいのかを別の表現で言えといわれても、なかなか難しい。彼ら自身がプロフィール欄で「生活を歌っているなんて新しくはないバンドだけど」とか書いているし、そうだよなあ、別に目新しいところはないよなあとかこっちもついつい思ってしまう。

でも、それではダメなのか? 売れるために他がやっていない新しいロックを発見して打ち出していかないとダメなのか。うん、売れるためにはダメなんだろう。でも、売れなきゃダメなのか。売れるためにカッコいい音を鳴らすことへの情熱を減らして新しさのことを考えるようなことが本当に良いことなのか。それよりも、目立つことは無くてもカッコいい音を100%追求している方が、リスナーにとっては重要なことなんじゃないのか。

Lanaが本当に24時間のすべてをカッコいい音のために捧げているのかどうかはわからないけれど、少なくとも現時点でカッコよくて、でもそんなに目立っていない(と思われる)バンドのカッコいい音を誰かに届けと思ってこんなサイトを何年もやっているんだけれど、届いているのかなあ。多くの人たちにこういうカッコよさを知ってワクワクしてもらいたいんだよなあ。

(2020.8.17) (レビュアー:大島栄二)


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Posted by musipl