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Himuro『フューチャ』
【こういう音楽に包まれれば、日々は少しずつ明るい方向に向かっていけそうな気になる】

軽やかな歌。希望に溢れる人の歌。フューチャというタイトルが本当にふさわしい。誰にも未来は決まっていないもので、バラ色の未来もあれば絶望に満ちた未来もある。どっちに転ぶかはまったくわからないもので、おそらくほとんどの人はバラ色とまではいかなくても多少の明るさはある未来を期待しているはず。そういった未来をつかむためには自分自身が明るい未来を信じていることが必要で、絶対に叶うと思い込んでいる人は意外と本当に叶えてしまったりするものだ。宝くじなんて当たらないよと思って買わない人が当たる確率はゼロ、だって買わないんだから当たらないよ。でももしかしたら当たるかもと思って買う人が当たる確率はゼロではない。もちろん毎回宝くじを買っていれば出費がかさむわけで、その出費と当たる期待値のバランスの問題で宝くじを買うのと買わないのではどちらがいいのかを考えるべきなのだが、それは「宝くじを買わない」という選択肢がある上での話。人生は、もう今すぐに死んじゃうというのであれば別だが、どうせ生きていかなければならないのであって、だとしたら、明るい未来を夢見てそのための策を打っていく方が、明るい未来をあきらめて部屋でウジウジしているよりは何倍か明るい未来を呼び込めそうだなあと。まあ部屋でウジウジしているばかりの暮らしもそれなりに楽しいかもしれないですけどね。

未来を切り拓いていくには多少の困難に直面して苦労も苦悩もすることになるだろうけれど、そういう時に音楽は多いに手助けをしてくれる、はず。苦しい時には思いっきり哀しい曲を聴くことで孤独感を紛らわすことはできる。前に進んでいく時には明るい曲が必要で、とびきりの明るく元気なパワーが少しばかりの不安を吹き飛ばし、躊躇する心を奥に引っ込ませて一歩を踏み出させてくれる。要は深く考えずに進もうぜってことなのだが、不確実な未来を前に人はついつい考えすぎるもので、考えすぎることで踏み出すタイミングを失うということを避けるために明るい音楽をと。ポップな曲の存在価値はそういう点にこそあるんじゃないかなあ。その点このフューチャという楽曲は素晴らしい。ポップで軽やかで、目的なんて無くたってスキップしたくなるような前向き推進力。音楽性だけでそうなのに歌詞までがまず最初の一歩を始めようと、奇跡は小さなことの積み重ねだと歌う。この歌で未来を変えるんだと高らかに宣言する。聴いている人までが自分の未来を変えていけそうな気分になれる。いいな。こういう音楽に包まれれば、日々は少しずつ明るい方向に向かっていけそうな気になる。

(2018.12.28) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl