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キャラメルパンチ『素晴らしき日々』【旧いけれど大切な曲をいつまでも大切なまま持ち続けている姿】

わかる。めっちゃわかる。何事も野球に例えて話をしたくなるという気持ち。どこにでも野球少年というのはいてそこからプロ野球選手になれればいいけれどほとんどは部活のレギュラーにもなれず、レギュラーになれても地区予選の途中で早々に敗退して野球人生は終わる。いや、部活に入るどころかキャッチボールさえ上手くできずに体育の成績はいつも散々で、それでも野球見るのは好きで、政治や経済のニュースはチンプンカンプンなのにスポーツニュースだけ食い入るように見る少年。そんな少年が大人になればやっぱり野球を見て、何かを例える時に「それはな、野球でいえばピッチャーが………」と言うようになる。相手が野球のことよく知らなくて例えが通じてないのに「だからさ、バッターでいえば……」という流れで…。

そんな野球に例えているのかどうなのかよくわからないけれど、試合中止と思っていたところ突然試合やるぞってことになって、それを人生に例えているような歌。熱いです。とにかく熱唱。しかし野球に例えてるなと思った途端に、ああ、自分もいろいろなことを野球に例えてきたよな、などと思っちゃって、もう頭に入ってきません。歌詞の中身が頭に入ってこないのに、この熱唱の熱さは伝わってくる。これが音楽の力というものなのでしょうか。彼ら、今年の1月にもアルバムを出していて、このMVが今年の4月公開なので新譜に収録の曲なのかと思ってたら、2015年リリースのアルバムに収録されている曲でした。旧い曲をこうして5年経過してMV公開するのだから、彼らにとってもファンにとってもとても大切な、ライブでもずっと歌い続けてきたような、ARBでいえば『魂こがして』みたいな曲なのでしょう。その旧いけれど大切な曲をいつまでも大切なまま持ち続けている姿が、まるで少年の頃にボールを追ったという記憶を生涯大切に持ち続け、プロのプレイに一喜一憂する野球オッサンの姿と重なるようで、とても美しいなと感じたわけなのです。うん、美しいよ。

(2020.6.25) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl