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ACE COLLECTION『拝啓、君は…』【定番アングルの固定カメラMVに込められた意味とは?】

昨年レビューしてたACE COLLECTIONがこの春メジャーデビュー。昨今メジャーであることの重要性はどんなものなんだろうという気がしないではないけれど、ユーチューバーが大人気でも数百万再生というところで全国ネット地上波なら1%で百万人だという事実を考えると、やはり旧メディアの力はまだまだ絶大だし、音楽業界でのメジャーというものもまだまだ大きな意味があると言わざるを得ない。

さて、そのメジャーデビューを果たした彼らのMV。めっちゃ密やなあ。この3密を避けようというご時世にどんだけ密やねんという気もしないではないが、バンド向けの練習スタジオなんてこの程度の広さですよ。メジャーに行ったから急にゴージャスな環境に行けるということでもなく、むしろメジャーデビューした直後ってお金もない。忌野清志郎が初めて渋谷公会堂を満員にしたライブの打ち上げの席で「早く帰らなきゃ銭湯が閉まる」とメジャーレーベルのお偉方を相手に早々に帰ろうとしたのは有名な話。しかし、この密な演奏シーンは彼らにとって何もこの時期に敢えてねらった構図なのではない。数年前に認知度を上げるためなのか有名ソングのカバー動画をいくつか制作してアップしているが、その時からやっている、彼らにとっての定番のような構図なのだ。画面中央に敷いてあるマットも数年前のカバー動画の時から使っているもので、中央が黒くなっているのでそこに歌詞字幕を載せやすいという必須アイテムのようだ。この定番構図でのMVを彼らは何曲も作って公開している。それだけ見ると「ああ、お金が無くてちゃんとしたMVを作ることができないから、同じ構図で手っ取り早く作っているのかな」などと思ってしまいそうになるが、それは違う。例えば同様の構図で公開されている『約束のしおり』というバラード曲があるが、その定番構図の動画が公開されたのが2020年6月末。しかしその曲のちゃんとした(?)MVは2020年1月半ばにすでに公開されているのだ。そっちが既に200万回以上も再生されているというのに、なぜこの構図であらためて公開することになるのか。いろいろと理由はあったのだろう。ここからは推測でしかないけれど、メジャーデビューが4月で、そのタイミングで予定されていたプロモーションもライブもきっと軒並み中止になったはず。出ばなをくじかれ凹んだりもしただろう。何もせずにステイホーム。そんなことやっていられるか。多くのバンドも様々な形でこの自粛ムードに活動を行ってきた。彼らにとってこの構図の動画はある意味原点のようなものだったのかもしれない。

前述の『約束のしおり』は多くの人がACE COLLECTIONを好きになったと言っている名曲で、確かに良い曲だよなあと思うけれど、この『拝啓、君は…』を今回はチョイス。それは昨年レビューした『Lady』の時に感じた疾走感の怒濤ぶりに通じる心地良さがあるからだ。グッとくるバラードを聴いてそのバンドを好きになるというのはよくわかる。それを否定するつもりなんてないし、だから気になる人はこのレビュー中のリンクから飛んで聴いてみるといい。しかしバラードでグッとさせるというのはどのバンドにもできることで、それを紹介するのはACE COLLECTIONならではの良さを紹介することにはならない。もちろんこれも僕なりの勝手な見方に過ぎないんだろうけれど、こういう良さがこのバンドにはあるんだということを、幾人かの人に知ってもらうのは意味があることだと思うのだ。

(2020.8.1) (レビュアー:大島栄二)


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Posted by musipl