METAFIVE『Musical Chairs』
【もっとLEO今井を前面に押し出していけばいいのに】
昨年暮れに『Don’t Move』のMVを見た時にはぶったまげたMETAFIVE。なんじゃこのファンクなやつらはと思ってたけれども、こうして最新の曲を聴いてみるとまったくもってテクノ。思い返せばボーカルのLEO今井の風貌とアクションがロックでありファンクであったのであって、全体を統轄している(多分)高橋幸宏はやっぱりテクノポップをやりたかったのかなあと改めて思う(いや、高橋幸宏にとってテクノポップはごく一部の音楽要素でしかないんですけれども)。このMVでは延々と東京の空撮写真が流れていて、Googleマップとはまた違ったモノクロな空撮の東京は、それ自体がデータの集積のようで、風景というよりはbitマップという印象を与える。高橋幸宏にとってはこの東京とテクノは重要な一体のモチーフなのかもしれないと思う。そういえばMETAFIVEには『Luv U Tokio』という曲もあって、その中ではYMOの名曲『Technopolis』の「TOKIO!」というフレーズもあってついついニヤリとしてしまう。この高橋幸宏臭がMETAFIVE評価の分かれ目なのだろう。個人的には高橋的テクノポップはYMO他の遺産がもうたくさんあるのでそれが好きな人はその遺産を繰り返し聴けばいいのであって、METAFIVEはもっともっとLEO今井を前面に押し出していけばいいのに、もっとファンクに、もっとワイルドに。そしたらもっとカッコよくなれるのにとちょっと思う。個人的な、勝手な意見としてだけどね。今のままでも十分にカッコよくてスタイリッシュなんだけれども、整った管理社会的なトラディションを感じざるを得ない。いや、良いんですけれどもね、十分に良いんですけどもね。
(2016.11.17) (レビュアー:大島栄二)
関連記事
THE NOVEMBERS『みんな急いでいる』【静かで優しい文明批判。その対象はこの世界そのものになっているようで】
これは、一種の文明批判なのだろう。何かを批判しようとするとつい自分は正しいと彼岸 ...
大貫妙子『横顔』
【彼女の中の名曲中の名曲、しかも大貫バージョンが一番いい】
大貫妙子というと名曲てんこ盛りだが、個人的にはこの曲。切ない歌詞に、その切なさを ...
Salty Tongue『世界の真ん中で』【一般の価値観ではどうか知らんけど、堂々と楽しそうに幸せそうに歌ってやる】
単純に楽しそう。おお、バンドって楽しいものだったんだよなということを思い出させて ...
Wasilla『シンフォニー』【シンプルな、日常の幸せ】
春は別れの季節だと思うが、実際には別れに直面している人ってそんなにいないのかもし ...
吉澤嘉代子『女優』【こういう見方をすれば人を応援することが出来るのかという気付き】
吉澤嘉代子はメジャーデビューして一体どうしてしまったんだろうと思ってしばらく。昨 ...
B’z『兵、走る』【B’zの方がアスリートに見えるのだから、本当に不思議】
ラグビー日本代表応援ソングらしい。B'zの2人がパフォーマンスしている映像と、ラ ...
Jorja Smith『Blue Lights』【2018年最高の一曲、マイベストソング!】
正確には2017年発表の曲だが、MV公開とアルバム発売に合わせ、2018年最高の ...
Washed Out『Get Lost』【「チルウェイヴの代名詞」Washed Out史上、最も“踊れる”一曲】
うひょひょー、この浮遊感、たまらない。のっけから奇声を発生した件を、どうかなかっ ...
Shiggy Jr.『ピュアなソルジャー』【朝までは続かないサタデーナイトパーティー】
Shiggy Jr.、解散ですか。最初にレビューしたのが2014年で、もう5年半 ...



