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大比良瑞希『見えない糸 ~Never Be The Lonely One~』【寂しさ、孤独さ、冷たさといったものが際立って、かえってホッとする】

この人はヘウレーカのボーカルだった人。musiplを始めた頃にレビューして、ホントに大好きだったMV『falling』なのだが、その後ヘウレーカも解散。当時のレビューにあるHPへのリンクももう活きてません。でも、ヘウレーカのボーカル大比良さんはちゃんとこうして活動してて、歌ってる。活動の形態は変わっていっても、そこに芯のようなものは残ってて、続いてて、そういうのを目撃し、見知るのはとても心地良いもの。当然表現者本人にとっては今現在の表現こそすべてで、だから過去のものを引き出されても困るのかもしれないけれど、こちらは表現者本人ではないし単なるリスナーとして、この人を知るきっかけが過去の表現であるのだから、比較するのは当たり前のこと。しかもその過去の表現が大好きなのであればそれを忘れ去って今の表現にのみフォーカスするのは無理です、無理。んで、その大好きだったヘウレーカのレビューでその曲を「北欧っぽい」と言ってたけれど、その後のソロでの曲を聴いてみて、全部が北欧っぽい印象がある訳じゃないことに気づく。まあ北欧っぽいという評価が曖昧なのだけれど、それではなくて大比良瑞希のテイストというものがひとつの芯として貫かれているのが判る。世界を突き放して見るこの人の視点。様々なものと接近したいのだけれども、接近したところで暖かくなり得ないような、そんなクールさ。ひとりの人の世界観が滲み出ていて、音楽って不思議だなあと思わされる。大比良さん自身はギターを弾くのだが、サウンドに共通してベースの存在が大きく、その立ち位置的に退きつつも淡々と存在を主張するベースの音が曲全体を引き締めている。そこに、冷たい温度のようなものが生まれる要因があるように感じる。この曲は彼女のソロ曲の中でも、そういう寂しさ、孤独さ、冷たさといったものが際立っているようで、特徴がよく出ているなあと思うし、それによってかえってホッとするというある意味逆説的な感情が湧いたのが面白いなあと思ったのである。

(2017.12.25) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl