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きのこ帝国『ラストデイ』【いろいろなラストデイについて考えさせられるこんな曲を大晦日にこそ淡々と】

ああ、今年も終わる。1年が終わる。大晦日というのは単なる1日でしかないはずなのに、なんとなくいつもとは違う雰囲気に包まれる。そして雰囲気に包まれながらも24時間が過ぎてしまえばたいしていつもと違わなかったなということに気付かされる。

2019年、10周年を終えたきのこ帝国はあっさりと活動を休止した。終わりっていうのはあるんだなと思う。こういう時に思わされる。別に特別な日でもなんでもない時に訪れる急な終わりの日。終わっても忘れないで。そんなむしのいい話がありますか。終わったら、終わりだよ。そして、次がある。当たり前のように彼らもまた当たり前のような「次」を始めている。

次を始められないのは、いつまでもくだらないテレビを見続けているからだ。

では、次を始めなきゃいけないのか。ずっと変わらずにいようとしたところで、時は移って行く。時代は変化する。押し出されるように次の場所に移動させられる。そんな中で、逃避的に変化を忘れることは悪いことなのか。そのためにくだらないテレビを見続けることはそんなに悪いことなのか。

このラストデイという曲は、彼らがメジャーデビューする前の最後のアルバムに収録されている曲。インディーからメジャーに変化して、それは良いことだったんだろうか。そんな結論なんて無いことをわざわざ考えたりするのは僕の悪いクセだと思う。良いか悪いかなんて、100%の答なんてあるはずないし、そもそも変化の瞬間に完全な答えを持って次に動いている人なんていないのだから。誰もが偶然によって現在ある場所にたどり着き、それまでの行程を全肯定しなければ息をすることさえ難しい中生きている。メジャーに行くも、インディーに留まるも、すべては結果であって、良いとか悪いとかいうこととは別の何かだ。

いろいろなラストデイについて考えさせられるこんな曲を、もう活動を休止してしまったバンドの曲を、すべての仕事が終わった大晦日にこそ淡々と聴いてみるのが良いのではないだろうか。

(2019.12.31) (レビュアー:大島栄二)


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review, きのこ帝国, 大島栄二

Posted by musipl