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bokula.『HOPE』
【聴いてると勢いを感じて高揚してくる、まさにロックの要件そのもの】

勢いがあるロックナンバーというのはとにかく心地いい。バンドそれぞれに想いも考えもあるだろうし、その結果表現されるものというのはさまざまでどれが良いみたいな順列は付け難いのだが、それでもやはり結果の表現にはバンドの何かは現れるはずで、このバンドのようにとにかく不器用でも良いから前に前にという勢いが出ていると、無条件に良いなと感じてしまう。パンクだったりエモだったりというジャンルのロックで、スタイルとしてはそこそこパワフルな表現でありつつも、そのバンド自体に本当に表現したいものがなく、ただ単に好きなバンドの後追いで、誰かを真似てるだけというケースがよくあって、そういう場合、勢いなどは出てきやしない。なぜなら、真似をしている以上、真似している対象のオリジナルを超えることは絶対に無いし、そもそもそのオリジナルに近づくことすらほぼ不可能で、結局ブサイクな亜流になるのがオチだったりする。それはどんなバンド、どんなジャンルにもいえることで、そのバンドが亜流なのかそうじゃないのかは、イントロと最初のAメロを聴いただけですぐにわかる。このbokula.という広島のバンドは、よく聴いても歌が上手い訳ではないし、歌詞の内容もどちらかというとウジウジした言葉が並んでる。「才能なんて多分ないけど目の前の日々が幸せならそれでいい」って歌ってて、おいおい曲のタイトルHOPEだろ、希望って意味だろ、大きな希望を持たなくて良いのかとか思うけれど、曲全体の勢いはそんなものを全部吹き飛ばしていく強さがあって、オールOKという気分にさせられる。考えてみればロックなんて不良の音楽とか昔からいわれてて、その表現もどうかと思うし古すぎるだろとも思うが、時代が変わっても決してエリートの音楽ではないだろう(歌ってる奴がセレブになるというのはあるけれど)。日々のあれこれがそんなにうまくいかない若者がロックを聴いてただただ鼓舞されるとか、気持ちが高揚するとか、そういうのがロックのいいところなのであって、不条理なのに理由もなく気持ちを高揚させて前を向かせるのが、ロックに求められているものだとしたら、この曲のように、歌が圧倒的に上手いわけでもないし、前を向けるための条件を並べたような歌詞でもないのに、聴いてると勢いを感じて高揚してくるというのは、まさにロックの要件そのものなんじゃないだろうか。ステキだ。

(2021.5.13) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl